【高校野球】先発全員2年生の菰野が阪神・西勇輝擁した2008年以来の夏聖地へ 先月前監督の解任一丸で乗り越えた
スポーツ報知 / 2024年7月30日 5時0分
◆第106回全国高校野球選手権三重大会 ▽決勝 菰野2ー0鈴鹿(29日・四日市市営霞ケ浦第一球場)
三重大会では、スタメン9人が全て2年生という異例のオーダーの菰野が、16年ぶり3度目の頂点に立った。栄田人逢(とあ)投手が7安打完封。6月中旬に前監督が部員への体罰疑いで解任されたが、一丸となって乗り越えた。阪神・西勇輝(33)を擁した2008年以来の夏の甲子園に挑む。
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前を向き続けた菰野ナインに、最高の景色が待っていた。2―0の9回1死一、二塁、栄田が遊ゴロ併殺打で試合を締めた。息をのむ接戦から解き放たれ、笑顔のナイン。森田亮太監督(38)は「彼らの苦労を見てきた。乗り越えた瞬間を見ていたら、泣いてました」と、目元を拭った。
決勝のスタメンは異例のオール2年生で、最後までこの9人で戦い抜いた。ベンチ20人中14人が2年生(3年生6人)のチームは、強みも弱みも「若さ」だった。昨秋は1回戦敗退も、春は準優勝した勢いのまま、東海大会で享栄(愛知)と県岐阜商を撃破。しかし、決勝では中京大中京(愛知)に敗れた。県大会と同じく決勝を勝ちきれなかった。「負けるときは若さが出るとき」と指揮官。苦しくなるとミスが増え、経験不足があらわになった。
以降、より試合を想定した練習に取り組んでいたナインだったが、開幕直前の6月中旬、体罰の疑いで監督が解任。当時部長で、急きょ指揮を執ることになった森田監督は「動揺はなかった。下を向かずに野球をやろうと話した」という。言葉通りに勝ち上がり、準決勝では春夏県最多27度の甲子園出場を誇る三重にコールド勝ちと、強さを示した。
チームを支えたのは3年生だった。背番号15の山口拓真主将(3年)は「出たい気持ちはあった。そこを抑えてサポートする役目に回りました」。最後の夏、悔しさを抱えながら、逆境にさらされたチームを先導し続けた。指導者や保護者のバックアップも大きく、栄田は「支えがあってエースナンバーを着けさせてもらっている。恩返しが一番」と、帽子のつばに大きく「恩」の文字を刻み、125球を投げ抜いた。
「初めての舞台なので、まずは1勝を目標に頑張りたい」と主将。菰野ナインが胸を張り、夢舞台に乗り込む。(瀬川 楓花)
▼出場9人全員2年生 三重大会優勝の菰野は、決勝戦の出場9人全員が2年生。最近、夏の地方大会決勝に、下級生だけを先発させて臨んだのは、02年石川大会決勝の遊学館。先発だけでなく、出場選手13人全員が下級生(2年生10人、1年生3人)。01年4月に野球部創部。3年生のいない1、2年生だけのチーム。金沢を11対6で下し史上最速、創部2年目で甲子園出場を果たし、ベスト8まで進んだ。また、04年東東京大会決勝の修徳も、出場選手10人全員が下級生(2年生8人、1年生2人)。二松学舎大付との決勝を制し、甲子園ではベスト8。
◆2008年夏の菰野 初戦(2回戦)は日米12球団22人のスカウトが見守る中、西勇輝が木本に5安打2失点で完投勝利。その後も、先発や抑えとして毎試合に登板した。迎えた宇治山田商との2年連続の決勝戦では、平生拓也とのドラフト候補対決に2失点完投でリベンジ。3年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。甲子園では、仙台育英(宮城)との1回戦に先発登板も、毎回の13安打を浴び4失点。初戦敗退を喫した。
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