【高校野球】一冬で１３キロ増量 智弁和歌山の２年生エースが母の誕生日に甲子園決めた「最高のプレゼントを渡せた」

８回２／３を２失点と好投した智弁和歌山・渡辺（カメラ・谷口　健二）

◆第１０６回全国高校野球選手権和歌山大会　▽決勝　智弁和歌山４ー２近大新宮（２９日・紀三井寺球場）

　智弁和歌山が近大新宮を振り切り２年ぶり２７度目の頂点に立った。２年生エース・渡辺颯人が８回２／３を２失点（自責０）と好投した。

　リベンジを果たした。智弁和歌山の渡辺は真っ先にベンチを飛び出し、歓喜の輪に飛び込んだ。２７日の田辺との準決勝を８１球で完封（７回コールド）。中１日のこの日も疲れを感じさせず、８回２／３を９６球で２失点（自責０）。昨夏、初戦（２回戦）で高野山に敗れた先輩の悔しさを晴らし、２年ぶりＶの立役者となった。

　チームで「何が何でも甲子園」のスローガンを掲げて戦ってきた。この日は母の誕生日。試合前には「誕生日おめでとう。甲子園決めてくるわ」と祝福のメッセージを送った。有言実行の快投。「最高の誕生日プレゼントを渡せた」と笑顔で汗を拭った。

　２月の練習中、バントの際に右手小指を骨折。トレーナーに「トレーニングを教えてください」と直談判し重りは持たず、自重で体幹を強化してきた。１日６合の米と卵５つを毎日食し、一冬で１３キロ増量にも成功。「平均球速が上がって安定感が増したのは、あの期間があったから」と今夏は４試合でチーム最多の２４回２／３を投げ、自責０と圧倒した。

　「長い長い１年を今日この日勝つために選手たちとやってきました。本当にうれしく思います」と中谷仁監督（４５）。ＰＬ学園（大阪）と並ぶ歴代５位、４度目の甲子園優勝へ向け、聖地に乗り込む。（森口　登生）

　◆渡辺　颯人（わたなべ・はやと）２００７年６月２３日、神奈川県横浜市生まれ。１７歳。小学１年時、永田台少年野球部で野球を始める。中学時代は、世田谷西リトルシニアで投手兼内野手としてＵ１５日本代表にも選出。智弁和歌山では１年春からベンチ入り。１年秋から二塁手と投手としてプレーも、昨冬から投手に専念。最速１４３キロ。１８０センチ、８９キロ。右投右打。ＤｅＮＡファンで、憧れはカブス・今永昇太。