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1回戦ガールだった舟久保遥香「いずれ日の丸を着ける選手になる」と恩人が確信した瞬間…パリ五輪

スポーツ報知 / 2024年7月30日 10時30分

舟久保遥香を中高で指導した矢崎雄大監督(カメラ・林 直史)

◆パリ五輪 第4日 ▽柔道(29日、シャンドマルス・アリーナ)

 女子57キロ級で初出場の舟久保遥香(25)=三井住友海上=が銅メダルをつかんだ。準々決勝でサラレオニー・シシケ(フランス)に一本負けを喫したが、敗者復活戦と3位決定戦に勝利。日本柔道通算100個目のメダルを獲得した。舟久保を中高で指導した富士学苑高の矢崎雄大監督(44)が中学2年で現在の57キロ級に上げ、大きく飛躍した6年間を振り返った。

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 付属中に入学した時は48キロ級だった。線が細く口数も少ない。「大丈夫かな。柔道続くかなというのが正直なところだった」。当時は山梨県の競技レベルは高いとは言えず、1年時から県大会で優勝して関東大会や全中に出場しても「“1回戦ガール”でつらい思いをしていた」と振り返る。

 その翌年、矢崎監督は思いきった階級変更を提案した。「57キロ級に2階級上げたらどうだ」。少しずつ体が大きくなり、体重は53~54キロ程度あった。「本来であれば52キロ級だが、技の仕掛けが早く、攻め数が多い軽量級の柔道ができるタイプではなかった。上背もあって手も長い」と将来を見越した判断だった。

 日々の食事やトレーニングに加え、学校の休み時間におにぎりやプロテインを食べて増量に努めた。2年時の全中で“1回戦ガール”を脱し、8強入り。3年時には関東大会を制し、全国総体で山梨県勢として初めて頂点に立った。

 中学3年の時、長野県でジュニアの強化合宿があった。当時、松商学園高3年だった出口クリスタ(28)=カナダ=に稽古の1本目から組みにいった。3学年上の出口に当然のように投げられたが、「もう1本」と食い下がった。出口も意地になり、次第にヒートアップしていく中で、体力の限界を超えても必死に粘った。その姿を見て「勝負に対する異常なまでの執念を持っていて、それを行動で出せる。時間はかかるかもしれないが、いずれ日の丸を着ける選手になる」と確信した。

 器用なタイプではなかったが、強くなることへの貪欲さは抜きんでていた。中学2年の時にテストの点数が芳しくなかった。矢崎監督は「学校の勉強もできないと強くなれない。まず勉強をしっかりやりなさい」と注意し、合宿に連れていかなかいと告げた。舟久保は周囲が驚くほど大泣き。高校では難関私大を目指す特別進学コースSで学年トップクラスの成績を残すようになっていた。

 矢崎監督と、コーチとして指導する妻・仙子さんは現役時代に世界選手権に出場したが、五輪には届かなかった。舟久保がパリの舞台に立ち「弟子が代表になって超えてくれた」と喜ぶ。今大会では頂点に届かなかったが「立ち技に関しては伸びしろがたっぷりある。私の感覚や性格を考えると、彼女の完成形が見られるのはロサンゼルス五輪だと思っている」。4年後、さらにメダルの色を輝かせることを期待した。(林 直史)

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