空中の魔術師、トランポリン界初の五輪メダルならず「一体何してたんだろう。今後トラウマ的なのが」２本ともミスで予選落ち…パリ五輪

◆パリ五輪　第８日　▽トランポリン男子（２日、ベルシー・アリーナ）

　【パリ（２日）＝小林　玲花】初出場で、２３年世界選手権メダリストの２０歳・西岡隆成（近大）は予選で２本ともにミスが出て敗退。決勝進出はならなかった。

　日本トランポリン界初のメダルを目指した逸材は、まさかの結末に「正直まだ、頭の整理がついてない」と落胆の様子。「今後どういうふうな練習をしていけばいいとか、大会に臨む気持ちとか、これからトラウマ的なのが出てくるんじゃないのかなとか思いながら、どういうふうに修正して練習に入って行こうかなと。今のこの結果は、しっかり受け止めて、次の五輪に生かして行ければいいかなと思う」と話した。

　西岡は２歳から体操、小１からトランポリンを始める。２０２０年に当時１６歳の最年少で全日本選手権を制すると、２１年世界選手権では世界最高の難度点をマークして銀メダル。２３年世界選手権でも銅メダルを獲得。世界で結果を残し続けてきた。

　山本強化本部長は、西岡を「空中の魔術師」と呼び、「空中でのコントロール能力にたけている」と称賛。また西岡を指導し、五輪２大会出場の伊藤正樹コーチは「隆成クラスが次、出てくるかと言われると、ちょっと難しい。日本としてもこのチャンスは必ず取らないといけない」と言い切るほど、高いポテンシャルの持ち主だ。

　今回は初めての舞台で悔しい思いを経験。「決勝にも残れない中で、一体何してたんだろうなと。無駄ではないと思っているんですけど。応援してくださっている方にもすごい申し訳ないなと思っています」と言葉を絞り出した。

　トランポリンは過去、日本勢の五輪でのメダルがない。男子は２００８年北京五輪の外村哲也、１２年ロンドン五輪の伊藤正樹、１６年リオ五輪の棟朝銀河の４位が過去最高。女子は２１年東京五輪の宇山芽紅の５位が過去最高で、世界選手権では２０１９年大会で森ひかるが日本勢初の金メダルを獲得していた。