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【甲子園】たった一人の優勝旗返還 大阪入りした慶応の主将が訪れた“学びの場” 箕面自由学園チア部との心の交流

スポーツ報知 / 2024年8月7日 11時31分

慶応・加藤右悟主将とディスカッションを行う箕面自由学園チアリーディング部の部員たち(カメラ・加藤弘士)

◆第106回全国高校野球選手権大会第1日 ▽開会式(7日・甲子園)

 たった一人での入場行進。それでも慶応の主将・加藤右悟(3年)は胸を張って、力強く歩を進めた。場内で校名がアナウンスされると、歓声が沸き上がった。優勝旗返還の大役を終え、第一声。爽やかな表情で、今の心境を言った。

 「いい場所だなと思いました。きょうは堂々と、歩けたのかなと思いました」

 開会式の前々日の8月5日午後。加藤にはどうしても訪れたい場所があった。慶応高校野球部と親交の深い、箕面自由学園チアリーディング部だ。

 宿泊先のホテルから電車を乗り継ぎ、箕面市内のキャンパスに向かった。体育館に入ると、8月30日に代々木第一体育館で行われる「JAPAN CUP2024」に向けて練習に取り組んでいる部員たちが「こんにちは!」と大きな声であいさつしてくれた。

 箕面自由学園は計40度の全国制覇を誇るチアリーディングの強豪だ。チアリーディングも野球も、最後はメンタルが勝負を左右する。両部ともにメンタルトレーニング「SBT(スーパー・ブレイン・トレーニング)」をチーム強化に導入している縁がある。SBTコーチの吉岡眞司さんが間を取り持ち、昨春センバツ、昨夏甲子園の大会前には慶応ナインや学生コーチが箕面自由学園を訪問。日本一を目指す心構えについてグループディスカッションを行うなど、交流を深めてきた。

 昨年8月は箕面自由学園がジャパンカップで4年連続の日本一に輝いた直後、慶応野球部が107年ぶりの全国制覇を成し遂げた。決勝では箕面自由学園のチア部が外野席に駆けつけ、声援を送った。

 野田一江監督は交流の意義をこう語る。

 「めちゃくちゃプラスです。同志が増えた感じ。考え方が一緒なんです。『自分だけ優勝すればいい』じゃなくて、その先にあるものを目指している。スポーツの枠を超えて、高め合うことができる関係だと思っています」

 ジャパンカップ5連覇に向けて仕上げの練習に打ち込む、チア部のメンバーたち。張り詰めた緊張感の中でも、笑顔を絶やさずにプラス思考で取り組む。涙があふれてくることもある。しかし、引きずらない。

 加藤は箕面自由学園チア部のメンバーに昨夏のお礼を伝えた後、こんな質問した。

 「ミスをした後に、考えることは何ですか」

 高山智子キャプテンの答えはこうだ。

 「演技中にミスをしたとしても、演技は止まりません。ミスしたまま次の演技に行っても、いいものはできない。だから、まずは笑顔になる。そしてそのミスを1度、捨てる。忘れるんです。忘れられないんですけど…次のことに、しっかり集中するようにしています」

 ジャンルを超え、エリアを超え、互いに共鳴し合うアスリートたち。そこからの学びは一生の財産になる。加藤は同級生とともに、8月30日のジャパンカップを応援に行く予定だという。大きな声で彼女らの奮闘を後押しすると、心に決めている。(加藤 弘士)

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