1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

「世界一のパパ」金メダルを支えた文田健一郎の妻・有美さん、喜び以上に抱いた気持ち…パリ五輪

スポーツ報知 / 2024年8月8日 6時0分

6月の取材会で妻・有美さん、娘の遥月ちゃんとの記念撮影に応じる文田

◆パリ五輪 第12日 ▽レスリング(6日、シャンドマルス・アリーナ)

 レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級で文田健一郎(28)=ミキハウス=が悲願の金メダルに輝いた。6日の決勝で曹利国(中国)を4―1で下し、銀メダルだった21年東京五輪の悔しさを晴らした。試行錯誤の末に完成した“ハイブリッド・レスリング”で、日本勢のグレコローマンスタイルでは、1984年のロサンゼルス五輪の宮原厚次以来、40年ぶりの快挙を達成した。

 * * * *

 文田家の「重り」がようやく外れた。「彼の中でも私の中でも東京五輪は終わっていなかった。もやもやしながらずっと過ごしてきたので、やっとこれで全部終わったなって」。優勝の瞬間、有美さんが抱いたのは喜び以上に安ど感だった。

 交際を始めた時から競技に対する姿勢に魅力を感じていた。「強さではなく、レスリングが誰よりも好きなことが自分の誇りなんだ、とずっと言っていた。そういうところがすてきだなって」。21年東京五輪前に同居するようになった。練習が特に楽しかった日には「ただいま!」と遠足から帰ってきた少年のように声を弾ませ、報告してくれた。

 だが、東京五輪を境にその笑顔が消えた。特に苦しかったのは文田が勝ちに徹する戦いにシフトしていた2年間だ。「見ていて明らかに楽しんではないと思っていたけど、勝つためには仕方ないのかなって。お互い諦めたような日々を過ごしていた」。自宅でレスリングの話題を口にする機会も減っていた。昨年の世界選手権を経て原点を取り戻し、ようやく「また遠足から帰ってくるようになりました」と笑う。

 アスリート栄養学を勉強し、食事面でもサポートしてきた。減量時は減量食と感じさせないように見た目から工夫。心掛けているのは「心が悲しくならないように、なるべく見た目に背徳感があって、とにかく量を増やして食べたって思えるようにしています」と明かす。チャーハンは白米を少なめ。卵と高野豆腐で米の量を補い、盛りつけ方も少しでも量を感じさせるように考えた。

 1歳の遥月ちゃんも奮闘した。文田が優勝する姿を届けた時、観客席から「見てたよ」と伝えるかのように父を指さした。有美さんも「世界一のパパですよね」と誇らしげだった。(林 直史)

 ◆猫レスラー、待望の保護猫迎え入れ命名「しょうが」「わさび」

 文田は無類の猫好きで“猫レスラー”の異名を取る。東京五輪前は猫カフェ通いが癒やしだったが、その後に知人から保護猫を譲り受け、待望の愛猫を迎え入れた。日本猫でともにメス。毛の色から「しょうが」と「わさび」と名付けた。「2匹は性格が違って、わさびは人たらしで、なでてって寄ってくる。しょうがはマイペースで寝ていたら、膝の上に乗ってきたり」と顔をほころばせた。

 家に猫がいる生活は至福だった。「もういない生活が考えられないぐらい幸せ。毎日帰って癒やされてます」。パリ五輪期間中は日本でお留守番だったが、両足に同じネコ科の虎の絵が描かれた赤い靴下を着用し、しょうがとわさびの姿を重ねた。妻と長女、2匹の猫の思いを背負って文田は戦い抜いた。(レスリング担当・林 直史)

 ◆文田の21年東京五輪 19年世界選手権王者として金メダルを目指した。1回戦はテクニカルフォール(当時)勝ち、2回戦は1―1で内容勝ちと辛勝も順調に駒を進めた。準決勝では5―1と強さを発揮。グレコ37年ぶりの金メダルがかかった決勝。終始相手にペースを握られ、技を仕掛けることができず、1―5で銀メダル。試合後は悔し涙に暮れた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください