感謝の合掌 失意乗り越えた須崎優衣が最強の銅メダリストになった
スポーツ報知 / 2024年8月8日 23時0分
◆パリ五輪 第13日 ▽レスリング 女子50キロ級3位決定戦 〇須崎 優衣 Tスペリオリティー3分17秒 ●リバチ(ウクライナ)(7日、シャンドマルス・アリーナ)
7日の女子50キロ級で東京五輪金メダルの須崎優衣(25)=キッツ=が銅メダルを獲得した。3位決定戦でリバチ(ウクライナ)にテクニカルスペリオリティー(TS)勝ち。6日の1回戦でビネシュ(インド)敗れて2連覇が消えたが、失意を乗り越え、2大会連続のメダルを獲得。28年ロサンゼルス五輪から再び連覇に挑む決意を明らかにした。
最強の須崎が帰ってきた。気迫に満ちた表情で構え、鋭いタックルを連発。3分17秒でTS勝ちを決めると、マットの上で涙があふれ出した。観客席に両手を合わせて何度も頭を下げた。「金メダルを獲得する姿を届けられなくて本当にごめんなさいという気持ちと、ここまで一緒に戦って応援してきてくれた方々に対する感謝の気持ちだった」と明かした。
海外選手には大会前まで94戦無敗だった。2連覇が確実視されていた中で、1回戦で終了間際に逆転を許し、衝撃的な敗戦を喫した。昨年末には五輪4連覇を目指すと公言していた。連覇も、その先の4連覇も、2つの夢が同時に消えた。「喪失感と、皆さんの努力を無駄にするようなことをしてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいだった」と打ちひしがれた。
五輪女王であることに自身の価値があると思っていた。連覇を目指したこの3年間の努力を否定する気持ちにもなった。だが、そう思っていたのは自分だけだった。家族や周囲、そしてSNSを通じて世界中のレスリング・ファンから励ましの声が届いた。「一人の人間として応援してくださる方が本当に多かった。そこに気づけて、私は幸せだなと思えた」と立ち上がる勇気をもらえた。
パリで夢を実現することはできなかったが、28年ロス五輪、32年ブリスベン五輪に向けて新たなモチベーションが生まれた。「この銅メダルがあって良かったと言える日が来るように。4年後、8年後に五輪チャンピオンになって、皆さんと一緒に喜び合える日まで戦い続けたい」。敗戦を乗り越え、須崎はさらに強くなる。(林 直史)
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