阿部監督、戸郷にスタメン選択権「一番やりやすい捕手でと」捕手出身監督ならではの気配り

完封勝利の戸郷翔征を迎える阿部慎之助監督　（カメラ・上村　尚平）

◆ＪＥＲＡ　セ・リーグ　巨人５―０広島（８日・東京ドーム）

　１敗１分けで迎えた３連戦３戦目。阿部監督は戸郷にスタメン捕手の選択権を与えた。「本人に選ばせて。このところあまり調子も良くないし。自分が一番やりやすい捕手でと。（先発陣で）一番調子が良くなさそうだったからこそ選ばせた」。直近３戦は大城卓、大城卓、岸田と組んで白星なしだった右腕は大城卓を指名。その意思を尊重した。

　捕手出身の阿部監督は配球は十人十色で正解は一つではないと考える。試合前時点で今季の戸郷は岸田と８試合、大城卓と６試合、小林と４試合組んでいた。メイン捕手の岸田には岸田の良さがあるが、戸郷主導で大城卓と組んだことで結果的に相手を幻惑して考えさせた。序盤からいつも以上に直球主体の力勝負にカープ打線は苦戦。「見事な完封。タクミ（大城卓）もナイスリードだった」と共同作業に拍手を送った。

　打線は防御率０点台の大瀬良に対し、球数を投げさせる作戦ではなく序盤から早打ち。「追い込まれたら難しい投手だから」と積極的に仕掛けて重圧をかけ、７回の一挙５点先制で実を結んだ。首位・広島との３連戦は１勝１敗１分けで１ゲーム差。「負け越さなかったのが良かった」。攻守で柔軟に動いて流れを引き寄せた。（片岡　優帆）