「道路はボコボコになったり…」能登半島地震乗り越え、小松大谷が甲子園で悲願初勝利「学校の歴史を変えようと」
スポーツ報知 / 2024年8月9日 6時0分
◆第106回全国高校野球選手権大会第2日目 ▽1回戦 明豊4―8小松大谷(8日・甲子園)
強烈な打球が右中間を破った。小松大谷の3番・田西称(とな)は無我夢中でダイヤモンドを駆けた。三塁に到達すると、ガッツポーズで仲間を鼓舞した。1点を追う7回無死一、二塁、チェンジアップを強振。逆転の2点三塁打だ。続く8回2死一、三塁では直球を振り抜き、ダメ押しの右前適時打。5打数2安打3打点の活躍で同校3度目の甲子園で悲願の初勝利に導き「1つ勝って、学校の歴史を変えようとみんなで話していた。何とか初勝利のためにという思いでした」と喜んだ。
今年の元日。学校の室内練習場で一人、打撃練習に取り組んでいた。午後4時10分、激しい揺れに見舞われた。能登半島地震。小松市は震度5強だった。「結構揺れました。道路はボコボコになったり」。甚大な被害を受けた能登のナインには練習場を提供し、合同練習でふれあった。西野貴裕監督(49)は言う。「当たり前のように野球ができることが、当たり前じゃないと伝わったと思います」。大会前には輪島ナインからメッセージカードが送られてきた。「頑張れ!」の言葉に胸が熱くなった。「やってやろうという気になった」と田西。思いをバットに込めた。
次戦は難敵・大阪桐蔭と激突。「ビビらず自分たちの野球をやりたい」。愛する故郷のため、全力プレーで挑む。(加藤 弘士)
◆田西 称(たさい・とな)2007年4月5日、石川・小松市生まれ。17歳。小3から野球を始め、松陽中では白山シニアでプレー。小松大谷では1年春から三塁のレギュラー。捕手や一塁手も務める。高校通算14発。50メートル走は6秒4。遠投100メートル。180センチ、84キロ。右投左打。好きな言葉は「一球同心」。
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