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家族一丸!「最強」藤波朱理を育んだ父の一大決心…給料半減でも「娘を指導できる」日体大コーチ就任、母の支え

スポーツ報知 / 2024年8月9日 22時25分

試合後、父・俊一コーチに勢いよく抱きつく藤波(カメラ・小林 泰斗)

◆パリ五輪 レスリング女子53キロ級▼決勝 藤波朱理 テクニカルスペリオリティー ジェペスグスマン(8日・シャンドマルス・アリーナ)

 8日の女子53キロ級で藤波朱理(20)=日体大=が初出場で金メダルに輝いた。決勝で3分37秒でルシアジャミレス・ジェペスグスマン(エクアドル)に10―0のテクニカルスペリオリティー勝ち。中学2年から続く公式戦の連勝も137に伸ばした。金メダルに輝いた藤波を支えた両親も会場で歓喜の瞬間を共有した。父・俊一さん(59)はコーチとしてセコンドに就き、母・千夏さん(56)は観客席で見守った。家族一丸となって目指したパリ五輪への日々を、両親が明かした。

 優勝の瞬間、父は封印していたガッツポーズで喜びを爆発させた。娘とパリ五輪を本気で目指すと決めた5年前から、この日のために取っておいた。ため込んだ喜びを解放すると、娘からジャンプして抱きつかれ「最初で最後かな」と照れた。母・千夏さんは観客席へ駆け上がってきた娘と涙の抱擁。「朱理の頑張りが走馬灯のように浮かんで、本当に感無量です」と喜びをかみしめた。

 子どもの頃から負けず嫌いだった。家族で遊ぶトランプや坊主めくりは負けて泣き、勝つまでやめない。父が指導するいなべレスリングクラブで4歳から始めた競技も、最初は遊びのような感覚だったが、次第に火がついた。小中高と着実に成長する姿を見守っていた父は、高校3年時に大きな選択を迫られた。

 日体大からコーチ就任の打診があった。月の半分を指導する契約だったため、給与は高校の教員として勤めていた当時から半減だったが「生活は苦しくなるけど、大学でも娘を指導できるかもしれない。そんな機会はない」と踏み切った。その1年後、藤波も日体大への進学を決めた。

 進学時には大学に掛け合い、寮に入らないことを条件とした。将来的に減量が厳しくなることを予測し、普段から食事を管理するためだった。家賃10万円のアパートを借り、東京での父と娘の2人暮らしが始まった。

 慣れない料理や洗濯も父の役割だった。常に同じ時間を過ごすため、ぶつかることも増えたが、今年3月に藤波が「一番尊敬する人」と信頼する母が上京。いなべ総合学園高のレスリング部を寮母として支えていたが、藤波が五輪代表に決まる前の2年前に寮生の受け入れを停止して上京の準備をしていた。部屋は手狭になったが、家族一丸で戦う態勢が整った。

 この日の朝の計量後には「今日も最高の一日にしよう」と誓い合った。母はパリ五輪の金メダルだけを見ていちずに努力してきた娘の姿を思い返し「年頃の娘なのに全てレスリングに懸けて、競技を愛して没頭して。その姿を近くで見ていたので、本当によく頑張ったなって」と目を潤ませた。金メダルのご褒美に「脂の入ったすき焼きを食べさせてあげたい」と約束した。(林 直史)

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