1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

桜井つぐみが金メダル!伊調馨、川井梨紗子に続き 無双の中量級6連覇「本気で目指せば夢はかなう」

スポーツ報知 / 2024年8月10日 22時7分

女子57キロ級で金メダルを獲得し、笑顔でポーズをとる桜井(カメラ・岩田 大補)

◆パリ五輪 第15日 ▽レスリング(9日、シャンドマルス・アリーナ)

 9日の女子57キロ級で初出場の桜井つぐみ(22)=育英大助手=が金メダルに輝いた。決勝でアナスタシア・ニキタ(モルドバ)を6―0で下し、五輪4連覇の伊調馨、2連覇の川井(現姓・金城)梨紗子が築いてきた栄光の中量級の歴史をつないだ。高知勢では92年ぶり、女子初の金メダリスト。レスリング日本勢の金メダルは4日連続の5個目で、過去最多だった21年東京五輪に並んだ。

 目の前の光景が現実とは思えなかった。桜井は得意の腕取りで相手を制して得点を重ね、決勝を6―0で勝利。普段の試合と変わらない笑顔で声援に応えていたが、表彰台で金メダルを首にかけた時、じわりと涙がにじんだ。「夢だと思っていた。本当に五輪で優勝したんだな」。喜びを実感し、鍛錬の日々を思い返した。「ここで優勝するために練習してきた。今まで頑張ってきて良かった」と目頭を拭った。

 3歳の時、父・優史さん(48)がつくった高知レスリングクラブの1期生としてレスリングを始めた。最初はボール遊びや鬼ごっこで体を動かしていたが、次第に本格化。小学校では自宅の6畳の和室にスポンジのマットを並べ、帰宅後も約1時間、反復練習した。父の運転する車で全国へ出稽古にも行った。五輪3連覇の吉田沙保里さん(41)と練習する機会に恵まれ、「こういう人になりたい」と五輪を明確にイメージした。

 全国中学選手権を3連覇するなど順調だったが、高校で伸び悩んだ。高知南高の教員だった父とは学校、部活、家庭でも一緒。反発から素直に指導を聞き入れられず、練習にも身が入らなくなった。2年の時、父の友人の柳川美麿監督(48)が育英大にレスリング部を創部したと知り、練習に参加した。高知では難しかった大学生の女子選手との練習に「すごく楽しかった」と刺激を受けた。

 毎週末、金曜夜に高知から夜行バスに乗り、11時間かけて東京・新宿に到着。在来線で群馬・高崎に移動して土日の練習に参加し、月曜朝に高知に戻って学校に直行した。3年時は年間100日に及んだが、長距離移動の疲労よりも「ここなら強くなれる」との喜びが勝った。卒業後は育英大に進学。マットの上だけで約5時間の厳しい練習に励んだ。

 柳川監督には試合前に必ず「世界一練習しているから大丈夫だ」と送り出される。稽古量に裏打ちされた自信とスタミナを武器に国内選考で五輪覇者の金城らを破って代表入り。伊調、金城と続いた中量級の日本勢連覇を6に伸ばした。「高知から金メダリストになるのは正直遠いなと思った時もあったけど、本気で目指せば夢はかなえられる」。“世界一の練習”が花の都で開花した。(林 直史)

 ◆高知勢の五輪金メダル これまでは1932年ロサンゼルス大会で競泳男子1500メートル自由形の北村久寿雄と同800メートルリレーの横山隆志が獲得した2人のみ。北村は当時14歳日での金メダル獲得で、現在も日本男子最年少記録となっている。

◆金城梨紗子さんが見た 勝負のポイント

 桜井選手は、得意の腕取りのスタイルを徹底しての勝利でした。組んでから、相手の腕をつかみ、自分の優位な体勢に持ち込み、タックルなどを仕掛ける。私も対戦したことがありますが、決め方がうまく、これを切るのはなかなか難しいと思いました。

 山場となった準決勝の相手、マルーリス選手(米国)は、大技を仕掛けてくる選手で、先にポイントを取られましたが、冷静に対応していました。相手の右腕を両手でつかみ、足をかけてくるところを外し、体を預けるようにして倒し、4点を奪ったところも、自分のスタイルを徹しているなと感じました。

 それに加えて、上半身がしっかりしているので、崩されにくいし、構えも低くて安定しています。初めての五輪でしたが、浮き足立つことなく、いつも通りの試合ができていて、素晴らしかった。東京五輪での私と同じ階級での金メダルが続き、強い女子レスリングが守られました。(16年リオデジャネイロ五輪63キロ級、21年東京五輪57キロ級金メダル)

◆桜井 つぐみ(さくらい・つぐみ)

 ▽生まれとサイズ、家族 2001年9月3日、高知・香南市。22歳。156センチ。家族は両親と妹2人。

 ▽競技歴 父の影響で3歳で高知レスリングクラブで始める。全国中学選手権を3連覇し、高知南高から育英大に進学。4月から育英大助手。世界選手権は21年に55キロ級、22、23年は57キロ級で優勝。

 ▽名前の由来 3姉妹で花鳥風月にちなみ、長女・つぐみは鳥。次女・はなの(21)は花。三女・つきの(12)は月。

 ▽好きな歌手 シンガー・ソングライターのあいみょんの大ファン。大会前にSNSで応援メッセージを受け取り「優勝したら、会えるのも夢じゃないなと思った」と奮起。

 ▽習字 小学校5年まで習い、硬筆6段。「きれいに書けるとうれしい」とはまり、週2回、教室が空く3時間、黙々と書き続けた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください