北口榛花が金メダル!日本女子トラック&フィールド種目初 女子やり投げで大快挙 …パリ五輪
スポーツ報知 / 2024年8月11日 3時46分
◆パリ五輪 第16日 ▽陸上(10日、フランス競技場)
【パリ(10日)=手島 莉子】女子やり投げ決勝で世界女王の北口榛花(JAL)が65メートル80で日本女子トラック&フィールド種目初の金メダルに輝いた。昨年の世界選手権(ブダペスト)を初制覇してから、今大会での優勝を期待され続けてきた北口。大きな重圧もはねのけ堂々五輪の頂点に立つと、“北口スマイル”がはじけた。日本勢の金メダルは今大会17個となり海外開催の五輪では2004年アテネ五輪を抜き単独最多となった。
北口は1回目の投てきでシーズンベストの65メートル80をマークしてトップに。そのままリードを守り、最終の投てきをする前に優勝が決まった。競技が終わると一緒に戦ったライバルたちに次々と抱きつかれて祝福された。
予選では1本目に62メートル58をマークし、自動通過となる62メートルを突破、2大会連続の決勝進出を1発で決めた。「当日しか競技場で練習させてくれなくて、練習という意味ではもう少し投げたかったというのはあるんですけど、1回で超えるというのがきょうの目標ではあったので、しっかり超えてよかったと思います」と笑顔を見せていた。
チェコ・ドマジュリツェを拠点に強化を続けてきた。男女の世界記録を持つ強国に、19年に渡って以降、昨年のブダペスト世界陸上では国内女子投てき種目で初めて金メダルを獲得するなど躍進。筋力アップなど“土台強化”に重きを置いてきた。右肘のけがもあり、16年リオ五輪出場を逃した。21年東京五輪へ再出発する中で、18年11月にフィンランドで行われた学会でやり投げ大国チェコでジュニア世代を指導していたダビド・セケラクコーチと出会った。五輪王者を輩出する“強国”での指導を直談判。単身で渡った。当時を「積極的な行動を今できるかは分からない。その時の自分はよく頑張った」。苦労を乗り越えたことで実力を向上させてきた。
今季自己ベストの65メートル21で優勝した先月12日のダイヤモンドリーグが“吉兆”だった。6月28日の日本選手権では優勝したが62メートル87にとどまり「各国の選手が調子を上げている中、自分が上げられていないのが一番の危機感」と話していた。今季は体に硬さを感じ「しっくりきたのが一本もない」という。ただ、自分の強みを見つめ直すきっかけにもなった。「私はスピードやパワーに頼った投げではない。大きさ、柔らかさをどうやって出すか、一から見つめ直した」と本来の伸びやかな動きに焦点を当てたことが大きかった。
21年東京五輪では、日本勢57年ぶりに決勝に進むも、決勝では左脇腹の痛みなどで12人中12位に終わった。「東京の時は右も左もわからない。ただ『オリンピックだ、ワ~』っていう感じだったんですけど、今回はオリンピックの過ごし方だったり選手村、試合の雰囲気を経験しているので、しっかり準備して臨めるかな」。重ねた経験、蓄えた実力を存分に発揮して大舞台で頂点にたどり着いた。
◆北口 榛花(きたぐち・はるか)1998年3月16日、北海道・旭川市生まれ。26歳。バドミントンは小学6年時の全国大会団体戦で優勝も、旭川東高で陸上やり投げに転向。2年時から全国高校総体を連覇。3年時の2015年世界ユース選手権(コロンビア)で金メダル。16年に日大へ進学。19年に66メートル00の日本新(当時)を樹立した。20年にJAL入社。21年東京五輪12位。世界陸上は22年オレゴン大会で銅メダル、23ブダペスト大会で金メダル獲得。23年9月に67メートル38の日本新記録をマークした。家族は両親。
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