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「こんな最高な日は人生で一度きり」近代五種の佐藤大宗が銀メダル 過去112年で男女とも入賞ゼロ

スポーツ報知 / 2024年8月12日 4時55分

◆パリ五輪 第16日 ▽近代五種(10日・ベルサイユ宮殿)

 男子決勝が10日に行われ、初出場の佐藤大宗(30)=自衛隊=が、1542点で銀メダルを獲得した。馬術、フェンシング、水泳、射撃、ランニングで争い「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれる伝統競技で、男女を通じて日本勢初の表彰台。五輪採用から112年にして、競技発祥のフランスで快挙を成し遂げた。28年ロサンゼルス五輪は馬術に代わって障害物レースが採用される。

 澄み切った青空に両手を突き上げ、佐藤は叫んだ。「歴史をつくりました」。男女通じて入賞さえなかった近代五種の個人種目で、初のメダル獲得。五輪採用から112年。競技の発案者で近代五輪の父、クーベルタン男爵の母国で歴史の扉を開き、「世界と戦うのは難しいと言われ、自分もそう思っていた。誇りに思う」と感無量の表情だった。

 緊張で、朝から吐き気が止まらなかった。準決勝をB組1位で通過し、表彰台がちらついた。最終種目のレーザーラン(射撃・ランニング)を迎える前に、膝に手をついて2度吐いた。そんな時、父・勇蔵さん(70)の「やるなら死ぬ気でやれ」との言葉が支えになった。「まだ俺は死んでいない」と自らを鼓舞した。

 3位と6秒差で走り出すと「最初から最後まで攻める」と序盤から飛ばす。600メートルを5周するランニングの1周目で3位に上げ「当たる自信しかなかった」という射撃も準決勝から命中率を上げた。「これが死ぬ気でやった人の限界突破」。ゴール後は寝転がり、しばらく立ち上がれなかった。

 フェンシングは21年東京五輪団体金、パリ五輪でも銀メダルを獲得した男子エペ日本代表らと剣を交えて強化。馬術は大会側が用意する外国産馬に慣れるため、北海道にある競走馬の牧場に出向き、似たタイプの馬で練習。馬と試合会場の映像を入手して、それぞれの特徴や歩幅に合わせたコース取りを想定した。念入りな準備が結果につながった。

 日本近代五種協会によると、国内の競技者は約50人。海外に比べて始めるのが遅く、佐藤も19歳から挑戦した。1年浪人した兄・光蔵さん(32)と自衛隊体育学校に同期入隊。先に、体育教官に勧められたのは兄だったが「弟の方がポテンシャル高いですよ」。その一言から競技人生が始まった。

 少林寺拳法や青森山田中・高での競泳経験を生かし、常識を覆した30歳。「こんな最高な日は人生で一度きりじゃないかと思う」。ベルサイユ宮殿の表彰台で輝く銀メダルを見つめた。4年後は馬術に代わって障害物レースが採用。テスト大会ではTBSテレビの番組「SASUKE」のセットが使われた。競技が新たに生まれ変わる前、最後の五輪で、歴代メダリストに日本人の名が刻まれた。

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