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過去最多金メダル8個のレスリング…躍進の理由は 各地の指導者がまいた種が長い年月をかけ実った

スポーツ報知 / 2024年8月13日 5時0分

パリ五輪の閉会式で盛り上がる日本代表の選手たち(代表撮影)

 第33回夏季五輪・パリ大会は11日夜(日本時間12日未明)にパリ郊外サンドニのフランス競技場で閉会式が行われ、17日間の祭典が幕を下ろした。海外開催の五輪で日本は金メダル総数で2004年アテネ大会の16個を上回り過去最多の20個を獲得。メダル獲得総数45個(金20、銀12、銅13)とともに最多となった。各国・地域の金メダルランキングでは米国、中国に次いで自国開催だった21年東京大会に続く3位。五輪ニッポン大躍進の理由をパリ五輪担当キャップ・林直史記者が検証した。

 閉会式の日本選手団の先頭を、陸上女子やり投げで史上初の金メダルに輝いた北口榛花(26)=JAL=が日の丸を振って行進した。ブレイキン男子の半井(なからい)重幸(ダンサー名・SHIGEKIX、22)=第一生命保険=と笑顔で場内を歩き、観客の歓声にも手を振って応えた。

 競技日程の16日間で1日も途切れず毎日、メダリストが誕生。日本選手団は日本オリンピック委員会(JOC)が、高く設定した金メダル20個をクリアした。最大の功労者は大会後半のレスリング勢だろう。東京五輪の5個を上回る最多8個。男子の文田健一郎はグレコローマンスタイルで40年ぶり。日下尚(くさか・なお)はフリー、グレコ両スタイルを通じて最も重い階級での制覇。鏡優翔(ゆうか)は日本女子最重量級で初と、中身も濃かった。

 協会主導で革新的な手を打てていたわけではない。東京五輪のように強化予算がかけられず、全日本合宿の回数も減っていたのが実情だ。赤石光生強化本部長は映像分析の迅速化などサポート体制は整えた上で「選手やコーチが努力してくれた」と率直に語った。

 各地の指導者がまいた種が長い時間をかけて実った面もある。桜井つぐみの父・優史さんが04年に高知レスリングクラブを創設し、桜井と清岡幸大郎を育てたように、同時期にキッズレスリングのクラブが各地に誕生。赤石氏は「20年かかって花開いてきたと感じる」と語る。日本勢が苦戦してきたグレコは日体大を中心に所属の垣根を越えた合同合宿を実施。女子も以前は至学館大1強だったが、育英大が創部7年で桜井、元木咲良を輩出するなど多様化した。

 同じく伝統競技の体操と柔道が3個で続き、フェンシングは2個を獲得した。4人の外国人コーチを招へいし、世界基準を植え付けたことが功を奏した。都市型スポーツも新たな強みとなっている。スケートボードは4種目で2。初実施のブレイキンも1個を加えた。

 メダル獲得競技も16と幅広かった。近代五種と飛び込みは初。馬術は92年ぶり。セーリングは20年ぶりだ。馬術は10年以上も英国を拠点に練習。陸上もマラソン以外で日本女子初の金に輝いたやり投げの北口がチェコを拠点とするなど、海外に強化の場を求める選手が増えたことが底上げにつながった。セーリングは東京五輪も有望種目だったが、コロナ禍で海外勢と長期間練習できず情報不足に苦しんだ。その不安が解消されたこともプラスに働いた。

 国は世界選手権などの実績を基に重点支援競技を選んで予算を手厚く配分してきた。最高のSランクに指定した柔道、体操、フェンシング、ブレイキン、レスリングはいずれも成果を挙げた。今大会は1年延期された東京五輪から通常より短い3年間での開催。自国五輪に向けて強化してきたレガシーも一因だろう。

 もちろん、個々の競技で事情は異なる。ただ、特にこれまで苦戦してきた競技や種目で共通するのは「勝てないだろう」という固定観念に縛られなかったこと。環境やフィジカルの差を埋めようと試行錯誤してきた選手と指導者の努力が花開いたパリ。4年後の2028年ロサンゼルス五輪につながる五輪だった。(林 直史)

 〇…パリ五輪の日本人メダリスト75人のうち10、20代は61人と、4年後の28年ロサンゼルス五輪でもメダル量産が期待できる若い選手が多かった。10代はスケートボード・女子ストリート金メダルの吉沢恋(ここ、14)、卓球女子団体銀の張本美和(16)、男子高飛び込み銀の玉井陸斗(17)ら7人。20代は54人。30代は柔道で日本柔道最年長記録を更新した男子73キロ級銅の橋本壮市(32)ら12人。40代は総合馬術団体銅の“初老ジャパン”の大岩義明(48)、戸本一真(41)の2人だった。

 ◆メダルランク 米国が金40、銀44、銅42の合計126個でトップ。中国は米国と同じ金40だったが銀27、銅24の合計91個で2位。日本は金20(銀12、銅13)で、東京大会に続き3位となった。メダル総数では英国(65)、フランス(64)、オーストラリア(53)に次ぐ6位。

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