柔道メダル8個も…代表早期内定制度の利点と欠点の検証も必要 パリ五輪・担当記者が見た
スポーツ報知 / 2024年8月13日 7時0分
柔道は今大会で金3を含むメダル8個を獲得した。史上最多の金9だった21年東京五輪から大きく減らしたが、前回は練習場や練習相手など地の利があったことを踏まえれば、単純比較はできない。
ただ、中身を見れば28年ロサンゼルス五輪に向けた課題は多い。その一つが早期内定制度だ。全柔連では十分な調整期間を確保することを目的として、東京五輪で初めて導入。一定の成果があったと判断し、さらなる前倒しに踏み切った。最も早かった4人は昨年6月に内定。結果を見れば、阿部一二三、角田夏実が金。阿部詩、新添左季はメダルに届かなかった。
一二三はライバルの丸山城志郎との代表争いが早期に決着したことで、1年以上を鍛錬と海外選手の対策に注ぐことができた。角田も31歳の年齢やけがが多かったことを考えれば、焦らず調整できた利点は大きかった。
一方で弊害もあった。詩は腰痛などで当初の計画通りに試合に出場できず、上位8シードから外れ、2回戦で第1シードと当たることになった。女子の増地克之監督は詩に限らず「それがいいかどうかは別として、内定が出ていなければ多少のけがであれば出ざるを得ない」と指摘。シード権の重要性は男女の両監督がそろって口にした反省点だった。また、新添は1年以上も重圧を受ける形となり、眠れなかった時期もあったと聞く。
どんな制度にもメリットとデメリットがある。東京五輪の1年延期により、パリ五輪は3年間という短いスパンで開催された。柔道は一例だが、どの競技も選考や強化の難しさはあったはずだ。次回は4年間に戻る。立ち止まって検証できる時間を生かし、日本選手団として金20個の大成功の流れを切らさず、ロスにつなげていくことを期待したい。(パリ五輪担当キャップ・林 直史)
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