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不振に終わった日本水泳界 同じ方向を向いていなかった選手と首脳陣…パリ五輪・担当記者見た

スポーツ報知 / 2024年8月13日 7時0分

 日本水泳界をけん引してきた競泳は、存在感を失ってしまった。金を含む複数メダル獲得を目標に掲げたパリ五輪は、男子400メートル個人メドレーの松下知之(東洋大)が獲得した銀1個に終わった。リレーを含めて27選手が参加し、入賞は13種目を数えたが、日本新はなく、自己ベスト更新も1人(松下)にとどまった。梅原孝之監督は「危機感」を口にしたが、現場の空気感はどこかよそ様のような印象がぬぐえなかった。

 メダルなしに終わった1996年アトランタ大会以来の低調ぶり。男女リレーで表彰台に上がっていた12年ロンドン五輪頃の競泳ニッポンは、影もない。アジアや欧州勢が力をつけている事は確かだが、選手が本番で力を出し切れるだけの準備を日本代表としてできていたのか。大いに疑問に残る。

 今大会中、浅いと話題になったプール。事前の情報共有は首脳陣の中でもまばらで、現場には下りてこなかった。選手からは「飛び込んだ瞬間に浅いと思った」「急に水底だったのでビックリした」という声が聞かれた。水深が成績に直結したと考えるのは安易だが、重要であるはずの戦うフィールドについて伝える人がいなかったことは、問題の一端を映し出す。

 11個のメダルを獲得した12年ロンドン五輪前は、渡欧してプールの水質検査までしていたという。米国代表の選考会にも視察メンバーを派遣し、情報を集めるなど準備をしていた。梅原監督が「情報収集不足と言われるとそうなのかな」と語るように、結果を残した時代のノウハウは引き継がれていないようだ。水連は現場の声を聞いて五輪までの強化合宿などを調整しているが、各代表コーチに属するチームの方針に依存し、日本として同じベクトルを向いている印象は感じられなかった。

 選手、そしてコーチは日々、成長のために練習を積み重ねる。競泳は個人競技だが、こと五輪においては、何よりチーム力が試される。28年ロス五輪での復活に向けては、リーダーシップをとれる人材の発掘が急務で、より戦略的に強化を図っていく必要がある。現場のトップがよそ様の空気では、選手があまりにもふびんだ。(大谷 翔太)

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