大病乗り越えベンチでスコア記入 石橋・吉田光来 両親にも弱い姿見せず懸命のリハビリで聖地に立った

石橋・吉田光来記録員（右）

◆第１０６回全国高校野球選手権大会第７日　▽２回戦　石橋５―０聖和学園（１３日・甲子園）

　大病を乗り越え、ベンチでスコアをつける石橋・吉田光来（みらい、３年）の姿を母・幸恵さん（４３）は笑顔で見届けた。昨夏の新チーム発足直後、吉田は熱中症を発端に脳梗塞（こうそく）を患った。アルプス席で見守った母は「左半身を全く動かすことができなかったんです」と振り返った。小学生の頃から野球やトライアスロン、剣道を習い、母が「けがをした覚えすらない」と話すほど丈夫な体だった。１か月半の入院期間では一人では食事もできず、携帯電話を使うことすら看護師に任せる日々。それでも「来年は選手として」と、両親にも弱い姿を見せずリハビリに励み、マネジャーとして甲子園の土を踏んだ。

　「人生にたくさん光が降り注ぐように」と名付けられた“光来”という名前。幸恵さんは「昨年は病室のテレビで（甲子園を）見ていたので。本当に感慨深いです」と聖地で太陽の光を浴びる息子の姿に優しいまなざしを向けた。（森口　登生）