森祇晶さんが語る巨人軍のあり方 「伝統にとどまっていてはいけないチーム」 時代に合わせた変化も求められる

１９７２年、マウンド上でエース堀内（左）と言葉を交わす森。常勝軍団の要としてＶ９に貢献した

　巨人球団創設９０周年記念の連続インタビュー「Ｇ九十年かく語りき」の第８回は森祇晶さん（８７）の登場だ。捕手として「Ｖ９の頭脳」と呼ばれ、巨人の強さを支えた洗練されたチームプレーの要でもあった。水原茂、川上哲治という２人の大監督から教えを受け、のちに西武でも黄金期を築き上げた知将が、巨人軍のあり方を語った。（取材・構成＝湯浅　佳典、太田　倫）

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　「巨人とは？」という質問に「ひとことで言うのは難しい」としばし考えを巡らせた森さん。導き出した答えは「伝統にとどまっていてはいけないチーム」というものだった。「歴史や伝統には良さ、重みがあるが、そういったものが全てと勘違いしてはいけない。球界の盟主、リーダーという名前をかなぐり捨てて、変わるところは変わっていかないとね」。川上監督のもとで、先進的な野球を作り上げた現役時代を思い起こすように言った。

　◆森　祇晶（もり・まさあき）１９３７年１月９日、大阪・豊中市生まれ。８７歳。現役時代は昌彦。５５年に岐阜高から巨人に入団。６１年から８年連続ベストナイン。７４年引退。球宴出場１１回。ヤクルト、西武のコーチを経て、８６年に西武監督に就任。パ・リーグ史上初の５連覇（９０～９４年）を含むリーグ優勝８度、日本一６度に導き、９４年限りで退団。２００１、０２年に横浜（現ＤｅＮＡ）監督。０５年に野球殿堂入り。