“愛の説教”でよみがえった 神村学園のプロ注目スラッガーが大社のエース馬庭撃ち

７回１死一、二塁、左前適時打を放つ神村学園・ 正林輝大 （カメラ・岡野　将大）

◆第１０６回全国高校野球選手権大会第１２日　▽準々決勝　神村学園８―２大社（１９日・甲子園）

　４強が出そろった。関東第一（東東京）は東海大相模（神奈川）との関東勢対決を制し、９年ぶり２度目の準決勝進出。主砲の高橋徹平三塁手（３年）が７回、プロ注目左腕・藤田琉生（３年）から左中間席へ高校通算６１号の決勝ソロを放った。強豪を続々と撃破した県立校の大社（島根）は神村学園（鹿児島）に敗れ、史上最長ブランクとなる１０７年ぶりの４強はならず。神村学園は２年連続、青森山田は春夏通じて初、京都国際は３年ぶりのベスト４。４校とも初優勝を目指して最終章に臨む。

　神村学園のプロ注目スラッガー・正林輝大が、ようやく目覚めた。３回戦まで１３打数１安打。不振を極めていたが、３―２の７回１死一、二塁で大社のエース・馬庭優太から左前適時打を放ち、今大会初打点を挙げた。「４番として、いいところで打ててよかった」。一塁ベース上ではガッツポーズが出た。

　小田大介監督（４１）の“愛の説教”で、気持ちが切り替わった。３回戦後、宿舎で「自分の結果ばかりで打席に入っている。仲間への愛がない野球は、神村の野球ではない」と諭された。「チームのためにできることを、思い切ってやろう」と、心に決めた正林は、４回には盗塁も成功させた。

　２年連続の４強入りは、鹿児島勢では初めて。さらに上を目指すには、正林の活躍が欠かせない。試合後、４番の初打点のことを聞かれた指揮官は「めちゃくちゃ好材料じゃないですか！」と心から喜びを表した。（浜木　俊介）