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関東第一・坂井遼「歴史を変える先人になりたい」最速151キロ15回2/3連続無失点「信じられない。想像よりもいい結果」

スポーツ報知 / 2024年8月22日 5時10分

神村学園に勝利し大きく喜ぶ関東第一・坂井(カメラ・岡野 将大)

◆第106回全国高校野球選手権大会第13日 ▽準決勝 関東第一2―1神村学園(21日・甲子園)

 関東第一(東東京)が昨夏4強の神村学園(鹿児島)に逆転勝ちし、初の決勝進出を果たした。1点リードで迎えた9回2死一、二塁、神村学園の代打・玉城功大(3年)に中前へ鋭い打球を打たれたが、中堅手の飛田(ひだ)優悟(3年)は本塁へノーバウンドの返球でタッチアウトをもぎ取った。

 本塁で砂ぼこりが舞い、甲子園が静寂に包まれる。数秒の沈黙のあと球審の右手が上がり試合終了が告げられると、本塁のカバーに向かっていた関東第一のエース右腕・坂井遼(はる)はその場にしゃがみ込み、右拳を何度も握りしめ「うれしい。守備で助けられました」と喜びを爆発させた。

 頼れるエースが流れを引き寄せた。水分補給などをする10分間のクーリングタイム明け。0―1の6回から2番手でマウンドに上がった。打線が5回まで無安打に封じられ、嫌なムードが漂っていたが「持ち味はストレート」と最速151キロを誇る自慢の直球を軸に7回まで無安打。その裏の逆転を呼び込んだ。9回は1死から連打で一、二塁のピンチを背負ったが“奇跡のバックホーム”にも救われ4回4安打6奪三振。「調子が良すぎる」と自画自賛する投球で甲子園での連続イニング無失点を15回2/3に伸ばし、「ちょっと信じられない。想像よりもいい結果が出ている」と笑った。

 野球への熱い思いはチーム一。主将の高橋徹平も「『声出せよ、元気出せよ』と野手にも結構強く言ってくれる。坂井が言うと(雰囲気が)締まる」と絶大な信頼を置く。一方で素顔はマウンド上で見せる表情とは真反対。出身地である千葉・富里市のゆるキャラ「とみちゃん」を愛し、寮では同部屋の3人にプリントTシャツをプレゼント。“公私”でチームの中心だ。

 チームにとっても初の決勝戦。「歴史を変えようという意識でやってきた。先人になりたい」と締まった表情で意気込んだ。女手一つで育ててくれた母・一恵さん(43)と同じお守りを持ちマウンドへ上がる右腕は「自分が先頭(先発)からいくかもしれませんし、じゃなくても、楽しみながら、自分の気持ちいいピッチングをしたい」。先発だろうがリリーフだろうが、「背番号1」が歴史を塗り替える立役者になる。(大中 彩未)

 ◆坂井 遼(さかい・はる)2006年5月8日、千葉・富里市生まれ。18歳。小学5年から富里リトルスターズで野球を始め、富里中では江戸川南ボーイズでプレー。関東第一では1年秋からベンチ入り。最速151キロ。今春センバツでは4回4失点(自責1)。50メートル6秒5、遠投115メートル。趣味はけん玉。好きな言葉は「ありがとう」。178センチ、78キロ。右投右打。

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