井上尚弥 隆起した広背筋、太くなった首回り「筋量は増したかな」過去一ボディーで防衛戦へ自信

引き締まったボディーを披露した井上はサンドバッグに力のこもった右ストレートを打ち込む（カメラ・堺　恒志）

◆プロボクシング　▽ＷＢＡ、ＷＢＣ、ＩＢＦ、ＷＢＯ世界スーパーバンタム級（５５・３キロ以下）王座統一戦１２回戦　統一王者・井上尚弥―ＷＢＯ同級２位ＴＪ・ドヘニー▽ＷＢＯ世界バンタム級（５３・５キロ以下）タイトルマッチ１２回戦　王者・武居由樹―同級１位・比嘉大吾（９月３日、東京・有明アリーナ）

　世界４団体スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥（大橋）が２１日、横浜市内の所属ジムで練習を公開した。シャドーボクシング３回、サンドバッグ打ち２回などで軽快な動きを披露した。ＷＢＯ同級２位ＴＪ・ドヘニー（アイルランド）との防衛戦に向け、首回り、広背筋を中心にたくましさを増した体で世界戦９戦連続ＫＯ勝利に挑む。尚弥の究極ボディーを、担当の戸田幸治記者が「見た」。

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　すぐに分かった。練習公開前に設定された会見が終わり、は虫類をモチーフにした文字がプリントされたＴシャツを脱いだ井上尚弥。以前より広背筋は隆起し、首回りは太くなっていた。サンドバッグをたたく音も、これまで以上の重量感。「スーパーバンタムで４戦目っていうところで一番フィットしてきてるんじゃないかな」と自信を口にしたのも、納得の仕上がりだ。

　尚弥は、練習公開前に自身のＸで「過去一の仕上がりになるかもしれない」「体つきが違うように見える。気のせいか、、、」（原文まま）などと体つきの変化について投稿していた。「（Ｘの投稿は）具体的には書いていない。なんとなく、そんな気がするという投稿」と、とぼけて報道陣を笑わせたが、ベールを脱いだ姿から決して「気のせい」ではなく、意図的に仕上げたことは明白だ。

　３７歳とベテランのドヘニーが相手で、漂う楽勝ムードを払拭（ふっしょく）するように強化に励んだ。フィジカルトレーニングのメニューを作った鈴木康弘トレーナー（３６）は「これ以上やると危ない気がするくらいまで追い込んだ」と証言。「心臓」の強化も主眼に置き、特に心肺機能を上げるための練習に取り組んだという。

　スパーリングもタイプの違う４人のメキシコ人相手に１００ラウンド近くこなす予定。世界戦前は８５ラウンド前後が多かった尚弥がいつも以上に実戦練習を行い、大橋秀行会長（５９）と父の真吾トレーナー（５２）も「仕上がりはいい」と太鼓判を押す。過去一番の練習量をこなし、尚弥も「筋量は少し増したかな」と進化を感じ取った。

　４つのベルトをかけた２度目の防衛戦へ、尚弥は「自分でもどこが完成なのかっていうのは分からない。まだまだ進化した姿を見せれると思います」と約束し、「判定決着は許されない。仕留めるべき瞬間に仕留められるのがベスト」とＫＯを誓った。９・３有明決戦。ただ勝つのではなく、進化した姿で勝利をつかむ。（戸田　幸治）

　◆井上尚弥に聞く　

　―過去最高の仕上がり。

　「気を抜かないためにという意識で練習をしていたら、一番よく練習をしたなという自負がある」

　―ドヘニーについて。

　「（相手が）判定で勝とうなんていう気はさらさらないと思うし、だからこそ気をつけなければいけない。一発とか」

　―気を抜かないために。

　「一番は心がけ。周りの雰囲気っていうのは自分が一番感じますから。自分自身そういう気持ちがなくても、やっぱり緩みっていうのは必ず出てきてしまう。（練習は）ネリ戦以上っていうところは意識している」

　―Ｘで日本黄金時代と投稿があったが、那須川天心選手を見て？。

　「違いますね。過去見ても、バンタム級４団体で日本人が全て世界チャンピオン。そんな時代はなかったですし、自分も一つ階級が上ですけど、近い階級である以上、やっぱりすごく刺激をもらいます」