【番記者の視点】浦和、5戦勝ちなしも…渡辺凌磨が「僕は手応えを感じてる」と語った理由とは
スポーツ報知 / 2024年8月24日 14時0分
【浦和担当・星野浩司】アウェーの鹿島戦(17日・カシマ)後。5戦勝ちなしとなった浦和のMF渡辺凌磨は取材エリアでバッグを足元に置くと、険しい表情で言葉を絞り出した。「僕の課題が顕著に出た。上の順位に行くことを考えた時にああいうところでゴールを絶対に決めないといけない。決めないなら試合に出られないくらいの気持ちでやっていかなきゃいけないと改めて思った」。再三の決定機を決められず、0―0ドローを悔やんだ。
前半34分、自陣でボールを奪ってドリブルで中央突破したMF安居海渡のパスを受け、右足シュートはクロスバー直撃。同46分には相手パスを自陣右で奪ってドリブルで運んだMF大久保智明からのラストパス。「右足でトラップしようとしてて、最後のバウンドでボールが伸びて、タイミング悪い中で左足で左にトラップしちゃったところが全て」。体勢を崩しながら放った左足シュートはゴール左へ外れた。
この試合。浦和が作ったチャンスのほとんどは「カウンター」だった。前半16分のMF関根貴大の決定機も自陣でボールを奪った大久保のドリブル突破から。渡辺は「ちゃんとブロックを作って守れた。そこから攻撃に出て行けたことは今日はすごいよかった」とプラスに捉えた。
ヘグモ監督が就任した今季は、攻撃的な4―3―3布陣を採用。リーグ上位の得点を積み重ねてきた一方、昨季J1最少を誇った失点は増え続けた。5戦未勝利で迎えた6月26日の名古屋戦から2ボランチ、4―4―2布陣に変更。リーグ全26戦に先発している渡辺は「勝ててないからこそこういう守備でいこうとなったのは、僕は手応えを感じてる」と言う。
指揮官は23日の会見で直近7戦の失点に言及。湘南戦(2●3)、札幌戦(3●4)こそ大量失点で敗れたが、「それ以外の5試合ではPKからの1失点のみです。チーム、個人として(守備面は)良くなっている」と強調した。
自陣でブロックを敷きながら守備を安定させ、カウンターで仕留める。結果が出ないチーム状況に合わせたシステム&戦術変更だった。「今までいくら攻撃が良くても失点を重ねて3―4で負けたり、4―4とかが多かった。課題が明確で、僕のあの2点(決定機)を1点決めていれば1―0で勝ってた。あまり点を取られる気がしなかったから、そういうのが大事だと思う」。渡辺は自身に言い聞かせるように話した。
鹿島戦の後半。トップ下から右サイドハーフ(SH)に移ったからこそ、分かった課題がある。関根、大久保の両SHは守備時にボランチのラインまで下がって構え、カウンター時は長い距離を走って攻撃へ。関根が「距離が長かった分、しんどい時間も多かった」と振り返ったほど、体力的にハードワークが強いられる。
渡辺はトップ下として、SHとの連係について「体力的に攻撃に出ていけないことがあるから、そういう時にボールを受けやすいように受けたり、カウンターになっても変なポジションで受けてチグハグしてボールを取られたりが多かったので、そういうのをなくすために周りのサポートが大事だと思う」と話した。
24日のホーム・川崎戦(埼玉)。鹿島戦で負傷した大久保は右足関節捻挫とあり、SHの人選が1つのカギとなる。ヘグモ監督は6戦ぶりの勝利へ「チャンスで最後に決めるクオリティーが求められる」。渡辺の言葉を借りれば、課題は明確―。守備の安定感が備わってきただけに、1点、2点を決めきれれば白星はおのずとついてくる。
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