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【大島幸久の伝統芸能】勘九郎と七之助が中村屋の本領を貫いた「八月納涼歌舞伎」

スポーツ報知 / 2024年8月25日 12時0分

「八月納涼歌舞伎」の初日を迎えた歌舞伎座

◆歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」(25日千秋楽)

 勘九郎(42)・七之助(41)兄弟が中村屋の芸を守り抜いて、いや、攻め続けているのは皆知っている。今月の納涼歌舞伎は父18世勘三郎が大切にした興行で今年は勘三郎の十三回忌に当たり、第2部の「髪結新三」で勘九郎が新三、七之助が手代忠七を初めて勤めた。

 新三は祖父17世勘三郎の当たり役、父は昭和63年4月の国立劇場に初役で演じていた最中、17世の死去を知った。深い所縁の役柄である。

 勘九郎の最初の出は序幕1場・白子屋見世先の場。新三が店前で中の様子を立ち聞きする。下心がある目付きは父よりすごみがあり、形、声はそっくりだ。忠七の髪をなでつける手順は鮮やか。

 第2場・永代橋川端の場で新三は本性を現す。雨の中、差した1本の番傘で忠七と花道を歩く。この場で七之助がいい。作者・河竹黙阿弥の七五調のせりふを外さず、こなれていてうまい。勘九郎が忠七を足蹴にし、踏みつけながら「これ、よく聞けよ」と、傘尽くしの七五調で小悪党の憎みが利く。祖父、父が魅了させた名場面だ。

 天を指さして「うるせえのは、オレのおやじだ!」のシャレたせりふに観客が沸いた。

 大詰めは松本幸四郎の弥五郎源七と立ち回り。蛇の目傘を高く差し上げて決めた形は苦み走って父よりステキ。「ようよう、中村屋!」。兄弟は猛暑の夏芝居を二人三脚の奮闘で攻め抜き、中村屋の本領を貫いた。(演劇ジャーナリスト)

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