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レスリングのパリ五輪メダリスト6人が握手会開催 「結果を出すだけでは駄目」「賞味期限が短い」競技を取り巻く現状に危機感

スポーツ報知 / 2024年8月25日 19時58分

握手会に参加したパリ五輪レスリング日本代表の(左から)樋口黎、清岡幸大郎、桜井つぐみ、元木咲良、日下尚、高谷大地(カメラ・小泉 洋樹)

 レスリングのパリ五輪メダリストのうち6人が25日、全日本学生選手権が行われた東京・駒沢屋内球技場で選手の企画による握手会を開いた。約500人が集まる大盛況で、選手たちは2時間以上、笑顔で記念撮影にも応じた。女子57キロ級金メダルの桜井つぐみ(育英大助手)は「思った以上にすごい人が来ていて、五輪の反響を感じた」と驚き、男子フリースタイル57キロ級金メダルの樋口黎(ミキハウス)は「小さい子供たちも来てくれたのでうれしい」と手応えを示した。

 レスリングはパリ五輪に13人が出場し、金8個を含むメダル11個を獲得。過去最高の成績を収めた。だが、発起人となった男子フリースタイル74キロ級銀メダルの高谷大地(自衛隊)は「レスリングは賞味期限がすごく短くて、いつも4年に一度。選手が身を削りながらやっているこの環境をそろそろ変えていかないといけない」との問題意識を持ち、五輪期間中から現地で選手間で話し合い、今回のイベントを企画したという。同65キロ級金メダルの清岡幸大郎(三恵海運)は「1回で終わらないように、影響力が一番ある新鮮な状態の時に新しいことをどんどんやっていけたら」と、第2弾以降も仕掛けていきたい考えを示した。

 選手自ら動いた背景には、競技人口や環境面、人気、認知度など競技を取り巻く現状に対する危機感がある。イベント後はそれぞれが思いを口にした。男子グレコローマンスタイル77キロ級の日下尚(三恵海運)は五輪後のテレビ出演などで他競技の状況を目の当たりにし、「優勝した時の反響のでかさも他の競技より遅れている。(他競技と)努力のベクトルは同じでもその分が返ってこないので、それはやっぱり変えていかなきゃいけない」と感じたという。

 清岡は五輪前に日本オリンピック委員会(JOC)による日本選手団の結団式と壮行会に参加。レスリングの大会が行われることも多い東京体育館で、満員の環境や演出に感銘を受けた。「自分たち若い世代だからこそ思いつくアイデアもたくさんあると思う。今はそういったことを言える立場なので、失敗を恐れずにどんどんアクションを起こしていくことが、最終的にはレスリングの発展につながっていくと思う」と自覚を示した。

 女子62キロ級金メダルの元木咲良(育英大助手)は28年にロサンゼルス五輪が控える米国でレスリングの人気が高まり、競技人口が増えているという話題を聞き「すごくうらやましいなと思った」と率直に語った。「日本は技術レベルがすごく上がっている。レスリングの面白さをもっとみんなに知ってもらいたいし、こうやって五輪で活躍した後は注目してもらえるので、今がすごくチャンス」と競技の普及への思いを明かした。

 樋口はシビアな見方も示した。「理想のあるべき姿を言うと、僕らは一競技者で、企業に所属している一選手。自分の結果に100%フォーカスすべき」。今回は選手が自ら立ち上がってイベントを実現させたが「(本来は)イベントの企画をするのは僕ら選手じゃないと思う。どちらかというと、広報活動やイベントはもっと(日本レスリング)協会が主体でやっていかないと。五輪で金メダルを取るか取らないかの瀬戸際で戦っていたアスリートが、そういうことまでやらなくてはいけないのかなというふうに、残念にも思ってしまう」と問題提起した。

 樋口は音響など大会の演出の工夫、SNSを活用したPR、Youtubeでトップ選手が技やルールを解説した動画を紹介するなどの具体策を挙げ、「まだまだできることはたくさんあると思う」と指摘。もちろん、選手の立場として協力は惜しまない。「結果を出すだけでは駄目。4年に一度だけの競技で終わってしまうと、僕たちの後進も育っていかない。普及活動にも全力で取り組んでいきたい」。レスリング界全体で、競技の認知度向上に取り組む必要性を訴えた。

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