掛布雅之氏と本紙・森脇瑠香記者が部員13人の滋賀短大付の初勝利に感激 4月創部の女子硬式野球部
スポーツ報知 / 2024年8月30日 5時0分
今年4月創部の滋賀短大付女子硬式野球部に、女子野球出身の本紙・森脇瑠香記者が潜入した。1年生のみのチームが公式戦初勝利を挙げる奮闘ぶりを取材。スポーツ報知評論家の掛布雅之氏(69)は初めて女子野球の試合を現地で見届け、観戦記を寄せた。
私たちの声をかき消すほど、元気な声がグラウンドに響いた。滋賀短大付の女子硬式野球部は4月に創部したばかり。1年生のみ13人。専用グラウンドはなく、北大津リトルシニアの球場を借り、練習に励んでいる。
初めて練習に潜入したのは5月中旬。全員が野球経験者だが、正直に言うと、特別に上手な選手はいなかった。だからこそ、掛布さんのアドバイスは、ぐんぐん彼女らを成長させた。素直で、全力な彼女たちは、応援したくなる魅力に満ちあふれていた。ミスタータイガースは「3年後に優勝させる!」と宣言した。
私も高校時代は白球を追いかけ、1年目は当たり前のように負けた。今の彼女らもそうだ。7月。「女子の甲子園」と呼ばれる第28回全国高等学校女子硬式野球選手権大会1回戦・東海大静岡翔洋戦は1安打で0―9の6回コールド負けだった。
敗戦から数日後、掛布さんと選手たちでミーティングを開いた。なぜ負けたのか。今後について話し合った。「直球を打てるようになりたい」と選手の意見は皆、同じだった。スイング改善に取り組み、掛布さんは上から下へたたくように振る素振りを伝授。現役時代の背番号にちなんで「31」と名付けられ、練習メニューに組み込まれた。ボールの上をたたき、ライナー性の打球を徹底。「めっちゃ、いい打球飛ぶ!」と喜ぶ選手の笑顔が印象的だった。
8月中旬。第15回全国高等学校女子硬式野球ユース大会(1、2年生の新チームで出場する大会)で、滋賀短大付は惺山(せいざん、山形)に12―3で快勝した。10安打で念願のチーム初勝利。佐藤彰哉監督(29)は「ようやく、勝てました。掛布さんのおかげです!」と声を弾ませた。
だが、初白星で自信をつけたのも、つかの間。2日後の2回戦・佐久長聖(長野)戦は掛布さんが現地観戦するなか、0―7の6回コールド負け。私も高校時代、敗戦後にアスファルトに倒れ込んで泣いたことがある。「あの日、負けたから強くなれた」と今でも思う。今夏に負けた悔しさこそが、彼女たちを変えると信じている。(森脇 瑠香)
◆滋賀短大付 1918年、前身の「松村裁縫速進教授所」創設。48年から高等学校となり、61年に校名を「滋賀女子」と変更。2008年から男女共学となり現校名に。今年4月、県内初の高校女子硬式野球部を創部。生徒数712名(うち女子425名)。所在地は大津市朝日が丘1―18―1。
滋賀短大付はユース大会の2回戦で負けてしまったが、いいものを見せてもらった。1年生ばかり。相手は2年生がいて、やはり1学年の違いは大きい。滋賀短大付に足りないのはチーム内の「競争」。今は「優しい野球」をしている。でも、新入生が入ってくるとレギュラー争いの厳しさを知る。その厳しさが、強さに変わるときがくる。
彼女らは継続する力がある。野球も、何事も、継続しないと変わらない。初めて見た時から、成長していた。僕が教えた「31(素振り練習)」をしっかりしていたし、上からたたくスイングになっていた。試合後、キャプテンが「負けて、すみません」と言ってきて、グッと心に刺さった。次も行ってあげたい。この子たちと一緒に野球をやりたいと感じた。1勝の喜び、負けの悔しさを知ったから、3年生で勝てるチームになるはずだ。これからも彼女たちの力になりたい。そう思わせてくれる試合だった。
今回、女子野球の試合を初めて見た。経験したことのない爽やかな野球だった。声も大きくて、元気で全てに一生懸命。全力疾走も素晴らしかった。女子野球ならではの良さ、新しい風を感じた。すごく面白くて、見ていて飽きない。多くの方に女子野球の試合を見てほしいと思った。(掛布雅之)
◆掛布雅之(かけふ・まさゆき)1955年5月9日、新潟・三条市生まれ、69歳。千葉・習志野高で2年夏に甲子園出場。73年ドラフト6位で阪神入団。85年に不動の「4番・三塁」で球団初の日本一に貢献。88年限りで現役引退。2016年から2年間、阪神2軍監督。本塁打王3回、打点王1回。通算1625試合で1656安打、349本塁打、1019打点、打率2割9分2厘。右投左打。
◆森脇瑠香(もりわき・るか)1997年10月15日、和歌山県出身。26歳。中学から硬式野球を始め、京都外大西高では女子硬式野球部1期生として、全日本選手権優勝。和歌山大では男子に交じり準硬式野球部でプレー。20年、報知新聞入社。21、22年はプロ野球担当。23年、YouTubeデビュー。今年からサッカーなども担当。現役時のポジションは二塁、右翼。右投左打。
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