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巨人菅野が独走13勝 小林のサインに11度首振り「ごり押し」直球森下斬り

スポーツ報知 / 2024年9月2日 5時0分

7回1死一塁、近本を三ゴロ併殺に仕留め、ガッツポーズする菅野(カメラ・相川 和寛)

◆JERA セ・リーグ 阪神1―3巨人=7回降雨コールド=(1日・甲子園)

 負けられない一戦で大黒柱が意地の好投を披露した。巨人の菅野智之投手(34)が阪神戦に先発し、7回7安打1失点(自責0)で自身6連勝とし、リーグ2位に2差をつける13勝目。降雨コールドで完投勝利となった。打線は1点を追う4回に「5番・一塁」で出場した大城卓の適時打で同点に追いつき、7回に門脇の適時打と小林のセーフティースクイズで2点を勝ち越し。勝った首位・広島との0・5ゲーム差を死守した。

 勝負どころで、菅野は珍しく小林のサインに何度も首を振った。1―1の5回2死一、二塁、3ボール1ストライク。8度振ってうなずき、打者・森下が打席を外すと、仕切り直しでも、3度振った。選択したのはやや外寄りの直球で、この試合最速の152キロで右飛。「あそこはでかかった」とピンチを脱し、右拳を握った。雨が体をぬらす中での粘投でリーグ単独トップかつ最高勝率の条件も満たす13勝目。降雨コールドで今季2度目の完投となった。

 東海大相模の後輩・森下は試合前まで今季の得点圏打率3割4分9厘で、巨人戦では5割8分8厘。菅野自身は通算12打数6安打だった。「変化球をマークしているんだろうなというのはあった。一番分かっていても、打ちづらい球を選択しました。真っすぐの状態も悪くなかったし、押し込める自信があったから、ごり押ししました」。力勝負で完璧に打ち取った。

 試合を通じても直球を軸に、丁寧に凡打の山を築いた。初回は味方の失策から大山に右前適時打を許したが、「カバーしてあげたかったけど、1点で終われたのはすごく大きい」と最少失点。計3度の得点圏で粘った。7回7安打1失点(自責0)。試合前まで2勝7敗1分け。チームの鬼門を打ち破る聖地での110球だった。

 開幕から敵地9連勝はセ・リーグ初。経験もあっての記録だ。「夏場ビジターが多い中で結果が残っているのは、トシは食いましたけど、若い時に比べたら成長している部分なのかな」。大声援や雰囲気にも「最初の頃はのみ込まれそうな気持ちになった時もあったけど、12年間も戦っているわけですから全く動じない」と頼もしい言葉を口にした。

 後半戦は全6登板でクオリティースタート(QS=6回以上自責3以下)達成。今季の達成率も80%だが、指標の上を目指す姿は不変だ。「あまりそこにはこだわりというか、最少失点でいくのが大事。チームに勝つチャンスを与えるのが先発の仕事。少ない球数、失点で長いイニングを投げたら、長い目で見れば中継ぎも投げなくていい。もっと長いスパンで見るとチームが優勝するためには、ってところにつながる」。まさにその通りの1年を続けている。

 阿部監督は「グラウンド状況が悪くなってからも素晴らしい投球でね。あの回まで投げ切ってくれたので、ナイスピッチングでした」とたたえた。首位・広島も勝利し、ゲーム差は0・5。投手陣最年長が、勝負の9月の好スタートへ導いた。(田中 哲)

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