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原辰徳氏から阿部監督へ 優勝に近道はない 全員でもがき 一つ一つ積み重ね 一番苦しんだ者が制す

スポーツ報知 / 2024年9月5日 5時0分

ヤクルトに連敗し、ベンチで重苦しい雰囲気の中、沈黙する巨人ナイン(右端は阿部監督、左端は岡本和=カメラ・朝田 秀司)

◆JERAセ・リーグ 巨人0―3ヤクルト(4日・京セラドーム大阪)

 巨人が最下位・ヤクルトに連敗を喫した。相手先発・吉村から9安打を放ちながら決定打を欠いてプロ初完封勝利を献上し、球団ワーストを更新する今季17度目の無得点負け。首位・広島も敗れたため0・5差は変わらないが、3位・阪神に3差に迫られた。巨人軍前監督の原辰徳氏(66)=オーナー付特別顧問=は特別寄稿し、名将は優勝争い佳境の9月の戦いに「近道はない」と断言。最も苦しんだ者がペナントを制すると、阿部監督率いるチームにエールを送った。

 両軍の投手がいい投球をして、締まった試合になった。完封したヤクルトの吉村君が素晴らしかったのはもちろんだが、グリフィンも一発を許したとはいえ、投球自体は見事なものだった。その両者に共通した要素は何かと言えば「直球の使い方」だったと見る。

 何事も原点に立ち返るということは重要だが、野球においてそれは「直球」になるのではないか。

 打者ならば、相手の一番速い球にいかに対応するか。「真っすぐだったらいつでも捉えてやるぜ」ぐらいのものを示すことがとても大事になる。相手の選択肢から真っすぐが消せるなら、それだけで優位に立てる。逆に投手で言えば「俺はいつでも直球勝負できるぜ」という姿勢を崩さないこと。強打者を迎えて、変化球でかわそうという投手は、打者から見れば怖さは欠ける。

 何も「直球だけを狙え」とか「直球で勝負しろ」と言っているわけではない。勝負の原点である「力対力」で、自分を信じられない者がこの先もっと重圧のかかる大舞台で、結果を残せるとは思えないよ。打撃投手の真っすぐを打ち損じたら、心の底から悔しがるような、日頃の練習からそれくらいの意識を持っていい。

 その点では、浅野は実に素晴らしい成長の跡を見せている。真っすぐのタイミングで待ち、変化球を打てる打者になりつつある。「甘いところに来たら仕留めるぜ」というギラギラした思いを感じさせるし、見ていてワクワク感があるよね。今、打席で立っている時の気持ちを、引退するまでずっと持ち続けてほしい。

 9月に入って優勝争いをできていることが素晴らしい。目標がなくなると個のプレーに走りがちで、それでは勝利は得られはしない。残り22試合、そしてポストシーズン。この戦いを長いものにするか、短いものにするかは自分たち次第だ。

 巨人の監督を務めた17年間、常に心の真ん中に置いてきたことだが、一番苦しんだ者がペナントレースを制する。首位との最大13ゲーム差を逆転した08年や、CS最終Sで中日相手に3連敗から3連勝し返した12年もそうだった。勝利に対する執念、不屈といったアスリートの“純粋な魂”というべきものが培われた。もちろん日本シリーズで2年連続4連敗を喫した19、20年のような苦い思い出もあり、それも人を、チームを、育てはするが、成功体験でこそ成長は促進される。

 混戦を早く抜け出したいとは誰もが思うだろうが、勝利、成功に近道はない。連勝したからと先を見てしまえば、すぐに転げ落ちるよ。勝っても負けても、翌日にはフラットな気持ちでスタートラインに立つ。選手、首脳陣、全員でもがいて、一つ一つ積み重ねてほしい。(巨人軍前監督)

 ◆08年と12年の原巨人

 ▽08年 開幕5連敗スタートで、7月8日時点では首位・阪神に最大13ゲーム差をつけられた。しかし、7月を16勝8敗と勝ち越すなど猛追が始まり、9月11日からは12連勝するなどしてひっくり返した。セ・リーグ最大の逆転劇は「メークレジェンド」と称された。

 ▽12年 中日の3連覇を阻止し、3年ぶりにリーグ優勝。クライマックスシリーズ最終ステージではその中日相手に3連敗で崖っ縁に追い込まれたものの、底力を見せて3連勝。09年以来に進出した日本シリーズでも、日本ハムを破って09年以来の日本一となった。

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