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9・10月の歌舞伎座に注目 坂東玉三郎が若手抜てきを急ぐ理由1 尾上左近について

スポーツ報知 / 2024年9月8日 20時0分

「妹背山婦女庭訓」での坂東玉三郎(右)と尾上左近(C)松竹

 今月と来月、東京・歌舞伎座の坂東玉三郎(74)から目が離せない。「秀山祭九月大歌舞伎」(25日まで)の「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)では、尾上松緑(49)の長男、尾上左近(18)を相手役に抜てき。「錦秋十月大歌舞伎」(2~26日)では黄金コンビ、片岡仁左衛門(80)との「婦(おんな)系図」の一方で、光源氏に市川染五郎(19)を起用して「源氏物語」に出演する。可能性を秘めた若手抜てきは「いま急ぐことが大事だと思った」と明かす。そこには歌舞伎界の将来を見据えた考えがある。(内野 小百美)

 「妹背山―」での玉三郎演じる難役、定高の圧倒的な存在感。自身の芸の一方で次世代を担う若手の成長が急務と考えている。染五郎と左近の起用は思い切った配役だ。

 「決して『教える』だけじゃないんですね。とにかく、この人たちと私が会っておきたい、という気持ちが強かった。お客様の前で本番で会う(共演する)ということ。命がけで会うわけですから。それが一番いいと」

 左近が託された定高の娘、雛鳥。大役だ。左近は女形を始めて日が浅い。が、4月の舞踊「四季」(歌舞伎座)で見せたかれんさは、多くを驚かし、希望の光を感じさせた。玉三郎も「とてもきれいでした」と認める。

 「雛鳥は非常に難しい役。気持ちも動きの形も。ひたすら恋してかなわず死んでしまうはかなさ。純女形として育ってこなかった人をそこに導く。実は5月から始めていたんです。そうじゃないと間に合わないから。本当に細かい、ちっちゃな稽古から始めて。でも、“昨日”仕上がったわ」

 歌舞伎の多くは1週間足らずのけいこで幕を開ける。それが5か月前から。抜てきは他でもなく、左近に可能性を見たからだ。このインタビューは8月29日。初日(1日)の3日前にひとまずの“合格点”を与えていたことになる。

 10、20代の女形が少ないのは、切実な問題だ。「うちの父(14代目守田勘彌)たちのころの教育は、早く決めないと男女になっちゃう、と言われました。男をやれば女が出て女がやれば男が出るようになると。でも最終的には当人の運命だから」

 玉三郎は遅くとも20歳までに決めた方がいい、という考えだ。左近に対してはどうか。「女形として今後やっていけるかは、本人の意識次第でしょうね。でも本当になるのなら、もう立役はやらない方がいい、とも思うけれど。迷っていて決められないみたい」。役者人生が大きく変化するだけに、単純に答えが出るものではない。女形の基礎から徹底して集中的に吸収するために、何よりも重要なのは揺るがない覚悟ということだろう。

「毎日悔しさばかり」

 ◆尾上左近「第一に発声の稽古をつけていただきました。そして気持ちがないといけないと言っていただきました。心で理解して体が動く。自然にやっていることを舞台でも意識することが大切だと思います。実際に始まってみると、毎日悔しさばかり残ります。ですが、玉三郎のお兄さんと娘としてご一緒に舞台に立てることを光栄に思い、毎日勤めさせていただきます」

 日本版「ロミ&ジュリ」 ◆妹背山婦女庭訓 政変の最中に散った若い恋人の姿が軸に描かれ「日本のロミオとジュリエット」とも。藤原鎌足による蘇我入鹿のちゅうばつの史実をもとに、敵対する家に生まれた者同士が引かれ合う。大判事(尾上松緑)と久我之助(市川染五郎)の父子、定高(坂東玉三郎)と雛鳥(尾上左近)の母娘は苦悩の末、つらい決断を迫られる。

 中村吉右衛門さんとも共演 〇…今回の秀山祭で「妹背山」が上演に至った理由として、玉三郎が2度(02、16年)中村吉右衛門さんが大判事のとき定高で共演したことが挙げられる。そして主要な親子4人の役者がきっちりそろっていると判断された。「昨年の(国立劇場での)松緑さんの大判事がとても良かった」ことも玉三郎の背中を押した。また当代の祖父、2代目松緑は玉三郎が若いときに世話になった恩人の1人。そんな背景も左近への期待につながっているだろう。

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