【巨人】大逆転の舞台裏 阿部監督が坂本に耳打ちした“２人ならでは”の言葉から…土壇場９回に一挙９得点

９回無死一、二塁、打席に向かう坂本勇人（左）に直接声をかける阿部慎之助監督（右）（カメラ・渡辺　了文）

◆ＪＥＲＡ　セ・リーグ　広島２―９巨人（１１日・マツダスタジアム）

　巨人が土壇場９回に一挙９点の大逆転で、広島との首位攻防３連戦に連勝した。

　神がかり的な逆転劇だった。０―２で迎えた９回。ここまで防御率０・８８で自己最多タイの３７セーブを挙げている広島の絶対的守護神の栗林が、マツダの大歓声に包まれながらマウンドに上がった。しかし、先頭の代打・中山礼都内野手がストレートの四球。続く丸佳浩選手も四球を選ぶ中、三塁側ベンチ前では阿部慎之助監督が、坂本勇人内野手に耳打ちした。

　「もう何もないから、どんな結果でもいいから好きに打ってこい」

　指揮官が現役時代から、幾度となく自主トレを共にしてきた師弟関係。２点ビハインドの無死一、二塁。送りバントの指示が出てもおかしくない場面だった。それでも坂本なら…。全幅の信頼を置くからこその言葉に、ベテランが奮い立たないわけがなかった。強攻策に、鮮やかな左前安打で見事応え、無死満塁。ベンチが沸いた。ここから吉川への押し出し死球、岡本の同点打が生まれ、モンテスの押し出し四球で試合がひっくり返った。

　阿部監督が天王山で大幅に打線を組み替え、初戦から坂本は「２番・三塁」でスタメン出場。昨夜（１０日）も先制Ｖ弾を放ち、チームを勢いづけた。鬼門と呼ばれたマツダの呪縛を解き放った一発。これで後半戦、坂本がスタメン出場した２４試合で１８勝５敗１分けの勝率・７８３。逆に、ベンチスタートとなった１２試合は３勝９敗の勝率・２５０と苦戦が続いている。

　天王山の大きな大きな連勝につながった、阿部監督の「ささやき」。２位・広島とのゲーム差は３に広がった。