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「打たなきゃいけないポジションにいるから」巨人・岡本、厳しい声は「百も承知」重圧越えミラクル逆転口火

スポーツ報知 / 2024年9月12日 5時20分

9回無死満塁、岡本和が同点の左前適時打を放ちガッツポーズ(右は川相コーチ=カメラ・宮崎 亮太) 

◆JERA セ・リーグ 広島2―9巨人(11日・マツダスタジアム)

 首位・巨人が完封負け寸前の9回に9点を奪う歴史的猛攻を見せ、広島に連勝。鬼門マツダでは3年ぶりの3連戦勝ち越しを決めた。守護神・栗林から無死満塁のチャンスをつくると吉川の押し出し死球、岡本和真内野手(28)の左前適時打で同点。さらに門脇、浅野らのタイムリーなどで畳みかけ、13人6安打、9回の得点では77年以来47年ぶりの球団最多タイ記録を樹立。2位とのゲーム差を今季最大タイの3に広げ、貯金も今季最多の14。最短13日の優勝マジック「12」点灯へ向け、4年ぶりのマツダ3連戦3連勝を狙う。

 執念だった。歓声と悲鳴が交錯する中、岡本和は三塁側ベンチに向かって右手を上げた。「何がなんでも打ってやろうと思ってたんで、ヒットになって良かった」。9回に同点の左前適時打。4番の役割を果たす起死回生の一打は、1イニング9得点というG打線大爆発の着火剤にもなった。

 仲間が驚異的な粘りでつないだ。2点ビハインドの9回。守護神・栗林から3四死球と1安打で1点差に迫り、4番の前に無死満塁をお膳立てした。「本当に諦めず、みんなでつないでくれた」。5球目の外角134キロカーブをすくって左前へ。直前の152キロ直球と18キロ差の緩急でも、体は崩されなかった。

 8月は得点圏打率1割5分8厘。お立ち台では「俺も、たまには打たなアカンなぁーと思って。あしたも頑張ります」と“岡本節”でファンを沸かせた。リーグ単独トップの69打点と主砲の役割を全うしている一方、チームの看板を背負う宿命として、球場ではファンから厳しい声も飛ぶ。4打数無安打だった8日のDeNA戦(東京D)ではスタンドからブーイングが起きた。泰然自若に見える岡本和にも、その一つ一つが耳に届いている。

 「打てないことを言われているのは、百も承知です。自分は打たなきゃいけないポジションにいるから。去年もそうですし、毎年です。やらないといけないです」

 その重みを知っているからこそ、指揮官も背中を押している。球団歴代7位の505試合に4番打者として出場した阿部監督は「4番ですから。4番が打てば勝てる」。今季、岡本和が不調に苦しんだ時期に4番から外すことを示唆したこともあったが、「やっぱり4番だな」。揺るがぬ信頼で、背番号25に主砲としての重責を任せてきた。

 「僕が打てない時期もみんなが打ってカバーしてくれたんで。それで勝ってきたんで。残りもそうやって勝っていけたらと思います」と岡本和。ミラクル逆転劇で、4年ぶりのV奪還へ視界が開けた。「本当に大事な3連戦だと思って挑んでますし、みんながつないで、いい形になっている」と力強くバスに乗り込んだ。(内田 拓希)

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