角界の“華麗なる一族”対決 軍配は…祖父同士は22勝4敗 父同士は20勝20敗
スポーツ報知 / 2024年9月13日 6時0分
◆大相撲 ▽秋場所5日目(12日、東京・両国国技館)
西前頭2枚目・王鵬が、大関・琴桜から初勝利をもぎ取った。昭和の土俵を彩った横綱の孫同士の対戦は、祖父と同じしこ名を名乗る大関が過去4戦全勝としていたが、大鵬の孫である王鵬が初めて攻略した。自己最高位で迎えた24歳が、この殊勲星で勢いを増していく。琴桜は初黒星。成績次第で大関昇進の可能性がある関脇・大の里が5連勝で単独首位に立った。1差で追うのは琴桜に関脇・霧島、小結・平戸海に平幕の正代らを加えた7人となった。
結びの歓声と拍手に血が騒いだ。王鵬は琴桜の突き、左上手からの攻めを残す。右を差してまわしをガッチリつかむと、寄って相手に許した左上手を切る。最後は棒立ちとなった大関を寄り切って今場所2勝目。この日幕内で一番長い51秒4の熱戦を終えると、49本の懸賞を右腕で抱え土俵を下りた。「休まずに圧力をかけられた。右四つで止まってはいけないと思った」。王鵬は22年初場所の初対戦から4連敗しており、「やっと勝てた、という気持ちです」と喜びをかみしめた。
角界の“華麗なる一族”だ。王鵬の祖父は元横綱・大鵬で、父が元関脇・貴闘力。琴桜も母方の祖父が元横綱の初代・琴桜で父が元関脇・琴ノ若(現・佐渡ケ嶽親方)だ。祖父は琴桜に通算22勝4敗と圧倒し、父同士は20勝20敗。一方で3代目の王鵬と琴桜は名門・埼玉栄高相撲部で同じ釜の飯を食べた。今場所前も、王鵬は佐渡ケ嶽部屋へ出稽古し、2学年上の琴桜の胸を借りるなど親交は深い。それだけに「いい恩返しができた」と感慨深げだった。
「昭和の大横綱」と呼ばれた大鵬が幾度となく務めた結び。王鵬もこの日を含めて5戦4勝と得意で「結びは気持ちいい」とほおを緩めた。「見に来てくれたお客さんは最後の一番で感想がガラッと変わる。だからこそいい相撲を取ろうとやっています」と使命感もにじませた。さらに「高校の先輩と結びで取れるのは誇らしい」とうなずいた。
幕内後半戦の審判長を務めた高田川親方(元関脇・安芸乃島)は「王鵬をほめるべき。いつも以上に粘り強かった。地力が付いている」とたたえた。王鵬は今場所、過去最高位の西前頭2枚目。「三役昇進は運も絡んでくるが勝っていれば、そのうち上がれると思う。しっかり勝っていく」。名家を背負う24歳は着実に歩を進めていく。(山田 豊)
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