サッカーW杯5大会帯同のシェフ 西芳照さんが福島・浪江町「道の駅なみえ」総料理長に就任…地元復興「人生をかけて、少しでも力になりたい」
スポーツ報知 / 2024年9月13日 6時30分
サッカー日本代表のシェフとして2006年ドイツ大会から22年カタール大会までW杯5大会に帯同した西芳照さん(62)が、福島・浪江町にある「道の駅なみえ」の総料理長に就任した。同町に隣接する南相馬市出身で、東日本大震災から復興の途上にある浜通りへの熱い思いを明かした。
日本代表戦士の胃袋を支えてきた西シェフが、地元の復興に一役買う。総料理長に就任した「道の駅なみえ」の「フードテラスかなで」では、さっそく「代表カレー」「代表ハンバーグ」「代表ハンバーグカレー」の3種類がメニューに並んだ。カレーは選手が試合後によく食べ、ハンバーグはカタールW杯で試合3日前の夕食に出していた“勝負メシ”。「スポーツを通して培った知識や技術を活用して、浪江の未来に力を注ぎたい」と力強く語った。
今年1月、道の駅を運営する「まちづくりなみえ」の清水中理事長から「力を貸してほしい」とオファーがあった。実家のある南相馬市で菜園を手がけていたタイミングと重なり「断る理由はない」と快諾。なでしこジャパンに帯同したパリ五輪からの帰国を待って契約を結んだ。
楢葉町にあるJヴィレッジでの勤務時代は2日に1度ほど浪江町の請戸漁港で仕入れを行い、居酒屋やスナックなど「夜の町にも足を運んでいました」という思い出の場所。震災から13年が経過しているが、いまだに当時の賑わいは取り戻せていない。「私の人生をかけて、少しでも力になりたい」と決意した。
今後は新メニューの開発にも力を入れる予定で「夏はスズキ、冬はヒラメ、フグ、カニなど魚介類が豊富。地元野菜も含めてメニューにしたいですね」と明かした。団体客用の弁当や宴会料理などにも対応し、道の駅の調理場を使った料理教室も行う予定だ。「福島は子供の肥満度が高いから基本的な食事指導も重要」と、野球やサッカーなど競技ごとに必要な栄養を取れるよう、家庭でも再現可能なレシピを伝授していく。
なでしこジャパンでは肉じゃが、ひじき、切り干し大根が好評だったように、西シェフの得意分野は「おふくろの味」。月に数回は厨房(ちゅうぼう)に立つ予定で「そうじ、接客、何でもしますよ」と、持ち前の軽いフットワークで浪江を盛り上げていく。(岩崎 敦)
◆西 芳照(にし・よしてる)1962年1月23日、福島・南相馬市生まれ。62歳。原町高卒業後の80年に「京懐石よこい」へ入社し、99年に楢葉町のJヴィレッジ総料理長に就任。2004年からサッカー日本代表のシェフとなり、200回以上の海外遠征に帯同。23年ラグビーW杯やパリ五輪のなでしこジャパンもサポートした。
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