【巨人】阿部監督期待の１９歳にゲキ「何年か後にはお前が中心になってなきゃダメなんだぜ」Ｖ争い中でも先発起用

５回１死一塁、遊ゴロ併殺打に倒れた浅野翔吾（カメラ・上村　尚平）

◆ＪＥＲＡ　セ・リーグ　ヤクルト７―２巨人（１３日・神宮）

　首位・巨人がヤクルトに完敗し、連勝は３でストップした。優勝マジック点灯は最短で１５日以降にお預けとなった。阿部慎之助監督（４５）は試合後、２回２／３を７安打４失点で今季最短ＫＯとなった山崎伊織投手（２５）の登録抹消を決断した。打線は６回に丸佳浩外野手（３５）が２試合連発の１３号２ランを放つも、反撃はその２点止まり。２位に浮上した阪神とのゲーム差は３に縮まった。

　敵地で天王山３連勝した勢いがあっても、初回の３失点は重かった。広島からの移動試合。神宮のマウンドで先発・山崎伊が苦しみ、初回に村上に先制３ランを浴びた。その後も球威、制球ともに本来の姿を取り戻せず３回途中５９球、７安打４失点で敗戦。試合後、阿部監督は「ピリッとしないから抹消する」と明言した。

　１０日からのマツダでの首位攻防３連戦では先発ローテを再編。菅野、グリフィン、戸郷を立てて３連勝した。「火曜日の男」としてフル回転してきた山崎伊は対広島の防御率７・７１の相性を考慮して中９日と間隔を空け、ヤクルト戦を託したが、チームの良い流れに乗れず。「たぶん投げてあと１回だろうから。そこで万全にしてもらって」と再調整の時間を与えることにした。

　夏場以降に状態が下降気味とはいえ、一度も離脱せず９勝、１３８回１／３で防御率２・６０と投手陣を支えてきた。エース級の右腕を残り１５試合の佳境で登録抹消する決断ができるのは、指揮官の胆力の表れだ。「抹消するからちゃんとリフレッシュして体調を整えて戻ってきてほしい」。順調なら次回は中５日で１９日のＤｅＮＡ戦（東京Ｄ）が見込まれていたが、一度登板を飛ばし、開いた穴はこの日１軍に合流した堀田らが候補に挙がる。山崎伊は日程通り消化すれば、残り６試合となる２４日以降に再登録可能。次回昇格時は“一発快投”が求められる。

　しびれる優勝争いの中、野手起用でもどっしり構えて種をまいている。浅野を２２試合連続スタメン起用。広島から帰京したこの日、奮闘する高卒２年目の１９歳について「最後までいくんだよ、我慢して。次世代の人を入れて勝つってことをしとかないと。今後のジャイアンツに生きない」と熱く語っていた。

　「浅野に説いたの。こうやってすごい優勝争いできていて、あと何年か後にはお前が中心になって出てなきゃダメなんだぜ、って。今はいいから無我夢中でやれって」。現役時代、坂本を高卒１年目のオフからグアム自主トレに誘って一流の技術、心得を伝授した阿部監督。坂本と同じ高卒ドラ１の金の卵を将来の巨人の主力に育てるため、辛抱強く経験を積ませる。この試合は無安打だったが、未来への投資が花開く時が必ず来ると信じている。

　お預けとなった優勝マジックは最短で１５日に「１０」が点灯する。１４日は東京Ｄに舞台を移してヤクルト戦に臨む。「今日は今日。明日は明日」。優勝争い大詰めの勝負どころでも、慌てず先を見据える采配にブレはない。（片岡　優帆）

◆巨人１５日のマジック点灯条件

　巨人のマジック点灯は最短で１５日。条件は

　１４日　　―１５日

巨＝対ヤ●　―対中●

広＝対神〇か△―対Ｄ●

Ｄ＝対中〇―対広〇

　１４、１５日の２試合に巨人２連勝、広島は１勝１敗または１勝１分け、ＤｅＮＡ２敗で、巨人に優勝へのマジックナンバー１０が点灯する。なお、２位の阪神は３位の広島より５試合多く消化し巨人との直接対戦も残り２試合と少ないため、現時点で自力Ｖの可能性が残っているのは巨人、広島、ＤｅＮＡの３チーム。