【広島】プロ初登板初勝利・常広羽也斗の分岐点は青学大3年春「あの出来事があったから、伸びてこられた」
スポーツ報知 / 2024年9月16日 5時0分
◆JERAセ・リーグ 広島10―2DeNA(15日・マツダスタジアム)
広島のドラフト1位・常広羽也斗投手(22)が、プロ初登板初勝利でチームの6連敗を止めた。先発したDeNA戦(マツダ)で5回1失点。毎回得点圏に走者を背負いながら、最少失点で踏ん張った。球団新人では17年の加藤(現矢崎)以来の初登板勝利。今季プロ入りした“東都7人衆”では7勝の西武・武内を筆頭に4人目の勝利となった。首位・巨人には残り16試合で4ゲーム差。ルーキーの好投で、6年ぶりのリーグ優勝に望みをつないだ。
なかなか表情を崩さなかった常広はお立ち台を終え、ようやく一息ついた。「2軍とは全然違いました。体力的、精神的に。思った以上に疲れました」。初回に最速153キロを計測するなど全力で腕を振り、毎回得点圏のピンチを招きながら5回1失点。粘りの投球が、11戦連続で3得点以下だった打線に、初回4得点を含む8月12日以来の2ケタ10得点という活気も誘発した。「ボールが荒れる場面もあったけど、それも含めて自分らしい投球ができた」。球団新人では7年ぶりの初登板勝利。4連敗から1勝を挟んで今季最長6連敗という窮地のチームを救った。
ドラ1が開幕からデビューまで半年を要しながら、シーズン最終盤に連敗ストップの大仕事だ。常広が一番の分岐点に挙げるのが、青学大3年春。東都大学野球初という地元・大分での開幕戦で、ベンチ外の屈辱を味わった。「あの出来事があったから、その後の2年間で伸びてこられた」。好きな言葉は「意地を見せろ」。初登板で、その言葉を体現した。首位・巨人を4ゲーム差で追うチームが今、一番必要とする戦い方だった。
母親がファンというバンド「BUMP OF CHICKEN」の曲を登場曲に、マウンドに上がった。一級建築士の父・竜也さん(50)の多忙もあり、両親は車で片道4時間半の日帰りで大分から駆け付けた。18日の自身の23歳の誕生日、22日の母・由江さんの50歳の誕生日の最高の前祝いにもなった。
優勝争いの中で「面白いじゃん。馬なりでいっても」とルーキーを抜てきした新井監督は「彼にとって忘れられないデビュー戦になったと思う」と好投をたたえた。正念場の7連戦で、6戦目にしてようやくつかんだ白星。16日は常広と同郷・大分の先輩、森下が「意地」を見せる。(畑中 祐司)
◆常広の父・竜也さん(マツダで生観戦)
―初登板初勝利です。
「7本(安打を)打たれたけど、周りの方が守ってくださった。球数も多かったけど、よく粘って、いい投球だったと思います」
―初登板を聞いた時は。
「デビュー戦だから緊張するだろうなと思いましたけど、いつもと同じ気持ちで投げていたと思う。僕の方が緊張しました」
―登板前に激励は。
「いろんな人から連絡が来ていると思うので控えていましたが、今日は『頑張れよ』ぐらいです」
―今後どういう選手になってほしいか。
「自分の一番いい球を、自分なりに追い求めていって欲しいなと思います。結果は、後からついてくるのかなと。自分の信じた道を進んで、野球だけじゃなく、みんなから応援してもらえるような選手になってほしいです」
◆常広 羽也斗(つねひろ・はやと)2001年9月18日、大分県生まれ。22歳。県立進学校の大分舞鶴では甲子園出場なし。指定校推薦で進学した青学大で東都リーグ通算8勝を挙げる。4年春に優勝した全日本大学選手権でMVPと最優秀投手。昨年のドラフトで楽天と2球団競合の末、契約金1億円、年俸1600万円プラス出来高(金額は推定)の1位で広島に入団した。180センチ、77キロ。右投右打。背番号17。
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