江村美咲「楽しむ」取り戻し、パリ五輪後初戦で4度目日本一 ロスでの個人&団体金へ再出発
スポーツ報知 / 2024年9月17日 7時5分
◆フェンシング 全日本選手権個人戦 最終日(16日、静岡・沼津市総合体育館)
男女2種目を行い、女子サーブルはパリ五輪団体銅メダルの江村美咲(立飛ホールディングス)が五輪後初戦で2年ぶり4度目の優勝。1988年ソウル五輪代表の父・宏二氏の3度Vの記録を超え、「パリ五輪はつら過ぎたけど、この大会はすごくワクワクして楽しむことができた」と2028年ロサンゼルス五輪へ最高の形で再出発を切った。決勝では五輪のスパーリングパートナーを務め、事前合宿から約1か月間支えてくれた小林かなえ(河合電器製作所)を15―8で下し、感謝がこみ上げ、涙があふれた。
日本選手団の旗手を務めたパリ五輪では、団体で同種目初のメダルを獲得。世界選手権連覇のタイトルを手に臨んだ個人では、3回戦で姿を消した。「個人戦はコンディション。朝起きた時から体が重くて。1日体力的に戦いきれるかなと心配だった。相手との駆け引きを楽しむ前に自分の動作がイメージ通りできなかった。団体は自信を失っていたので、シンプルに最後のポジションを務めるのがつらかった」。
「楽しんでいる自分が一番強い」と再確認し、臨んだパリ五輪後、初戦。「パリのリベンジじゃないですけど、できなかったことをやってみよう、という気持ちが強かった」と心身ともにノビノビと戦え「これが私の理想ですね。言うのは簡単だけど、こういったプレーをもっと安定して続けていきたい」とロスへの課題とした。
五輪後はテレビ番組やイベント出演など、多忙な日を送った。コンディションを調整するのは簡単ではなかったが、イベントの合間に体を動かすなど調整。9月からは剣を握る練習を再開し、強い決意で今大会に臨んだ。「楽しむ」気持ちを思い出した一方、競技の普及への思いも秘めた。無料で開放した会場では、子供たちが「江村選手の試合が始まる!」と走ってピストに集まる。「あんなにキャーキャー言ってもらえたのは初めて。応援してくださる方がたくさんいる方が楽しい」と笑顔で感謝した。
その一方で増えたファンに継続して応援してもらうためにも、「強さ」に加え、メディア出演など「地道な積み重ね」を大事にしていく考えも据えた。28年ロサンゼルス五輪では「結果と楽しむこと」のリベンジを果たし、個人と団体で2冠を目標に掲げた。名実ともにさらなる躍進を誓い、再び厳しい4年間の航海に出発した。
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