大谷翔平ルーチンで注目 科学的トレーニングラボ「ドライブライン・ベースボール」が日本進出
スポーツ報知 / 2024年9月18日 5時0分
米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手(30)らが利用する世界最先端の科学的トレーニングラボ「ドライブライン・ベースボール(以下・DL)」(米ワシントン州シアトル、アリゾナ州フェニックス)が日本国内で事業を開始することが17日、分かった。同ラボは初の海外展開となる。日本からのニーズが高かった科学的メソッドの提供から始める。
ドジャースの大谷、今永昇太投手(カブス)ら多くの有名選手が訪れるDL。日本からの要望も多く「日本野球の発展に寄与したい」との考えから、国内で事業を始めることを決めた。
事業の初期段階として、DLが開発した「プライオボール(PB)」を使った練習メニューの普及をレッスンなどを通じて行う。PBは重さが異なるカラフルな投球練習用のボールで、MLB全球団、全米の大学からユース世代まで幅広く使われている。
大谷は2021年から試合前のルーチンで、DL流の練習を取り入れている。このボールを外野フェンスに向かって「後ろ向き」や「軸足を前に出す」など独特のフォームで投げていることから、注目された。大谷の直球の平均球速は約3キロアップし、約157キロに向上。メディアに「重さや大きさの違うボールを投げることで動きのセンス、うまさみたいなものが出てくる」と語っている。
約150グラムの硬式球に対しPBは100グラムから1・5キロまで6種類。国内でのPBの販売(6個で1万4210円)と同時に、日本語による初めてのガイドブックを制作し、近日中にオープンする公式サイトで無償配布する。ドリルに沿って、壁やネットに向けてこのボールを投げていくことで投手、野手の投球機能の改善が期待される。
日本進出の背景には模倣品の流通や、誤ったドリルの拡散がある。故障につながりかねないという懸念があり、DL幹部には「正しいメソッドを提供することで、能力向上に役立ててほしい」との考えがある。今後は野球指導者、医療機関、地方自治体などとも連携を図るとし、関係者は「地方の活性化につなげることができればうれしい」と語る。
マイク・ラスウェルCEOは、日本進出について談話を寄せ、日本野球について「野球を追求し、技術を磨くことに非常に高い意識を持って取り組む素晴らしい文化」と称賛。データに裏付けされたドリルを日々のルーチンに組み込むことで「自宅やグラウンドで、DLによるスキルアップのエッセンスを得ることができます」と自信を示した。
◆ドリルは10種類
PBを使ったドリルはリバース・スロー、ピボット・ピック、ステップ・バックなど10種類あり、蓄積されたデータと生体力学に基づき生まれた。動作解析に基づいて投球動作を時系列で分解し、特定の動きを固定化することで、改善したい部分に意識を集中して投げることができるという。公式サイトではDLが開発したさまざまなツールも販売する予定だ。
◆けがしない体作りを目的に08年設立
DLは、創業者のカイル・ボディ氏が2008年に設立した。同氏は、けがのため野球のキャリアを断念した経緯があり、マイクCEOらとけがをしない体作りを目的に、動作解析などさまざまな科学的なアプローチを試みながら、基礎を築いた。
DLはシアトル、フェニックスと2か所あり、フロリダ州タンパで3か所目の拠点を準備中だ。プロからユース世代まで年間約500人の選手らが訪れ、米国、中南米を始め、アジアからも訪れる。最新のマシンが並び、分析担当者や指導者らは約50人が在籍。熱心に投手、打者にアドバイスを送る。スタッフの評価も高く、大谷がかつて在籍していたエンゼルスは、2022年オフにDLのスタッフを投手コーチ補佐として招いている。
◆主なDL利用者
千賀滉大投手(メッツ)、タイラー・グラスノー投手、クレイトン・カーショー投手、ムーキー・ベッツ外野手、(以上、ドジャース)、トレバー・バウアー投手(レッズ、DeNAなど)、ノーラン・アレナド内野手、ゴールドシュミット内野手(ともにカージナルス)、近藤健介外野手(ソフトバンク)
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