巨人・阿部監督が熱く鼓舞「泥まみれになってやる」１３安打８得点 絶好調・吉川尚輝へ一本足打法伝授

広島に勝利しナインを迎える阿部監督（中央＝カメラ・中島　傑）

◆ＪＥＲＡ　セ・リーグ　広島２―８巨人（２０日・マツダスタジアム）

　勝利への執念が相手を上回った。敵地マツダで打線がしぶとくつないで１３安打８得点の快勝。阿部慎之助監督（４５）は「最初ね、４点先制できたのがすごく大きかったですし、それで井上も楽にいけたんじゃないかな」と３回に４点を先取した攻撃陣をたたえた。

　存在感が際立つのが３番・吉川だ。１４日のヤクルト戦（東京Ｄ）の試合前、ティー打撃の際に阿部監督が直接指導し、一本足打法を伝授してから６試合で２試合連続本塁打を含む２５打数１１安打、打率４割４分と絶好調。指揮官は助言の狙いを明かした。

　「今は（相手投手が）クイックとか時差投法をしてくるから、なかなか足を上げづらいんだけど、足を上げて打つことができないと。今はみんなすり足でしょ。ある程度反動を使って強く振っていかないと飛ばない。だから足を上げてタイミングを取る練習をしてみたら、と言って。ちょっと上げるだけでもいいと思う」

　指揮官の“魔法の言葉”を受けた吉川は、練習で右足を上げて強く振る意識を養い好調維持。試合では足の上げ方は抑えめだが無双状態で４番・岡本和とのアベック猛打賞と躍動した。

　ドジャース・大谷がこの日、史上初の５０本塁打５０盗塁を達成。阿部監督は「すごいね。あと１０試合貸してくれないかな。２０億くらいで。１試合２億」とジョーク交じりに祝福したが、大谷翔平はいなくても巨人には吉川、岡本和の最強３、４番コンビがいる。「それが機能してるからこそ得点につながっている」と勝負強い打撃に拍手を送った。

　広島への移動試合。ミーティングでは「もう泥まみれになってやるぞ」と熱く選手を鼓舞した。丸が７回の二ゴロ失策で二塁に激走するなど全員が集中。阿部マジックとの融合で球際の強さが光る。「あと９試合、一緒。その日その日勝つために精いっぱいやる。それだけ」。昨季８勝１７敗と惨敗した赤ヘルに、２年ぶりに勝ち越した。貯金は今季最多１７。リーグ優勝へさらに弾みがついた。（片岡　優帆）