大谷翔平、５４発＆５７盗塁で「５５―５５」に王手 打率トップに５厘差の３割９厘で３冠王も見えてきた

◆米大リーグ　ロッキーズ４―１１ドジャース（２７日、米コロラド州デンバー＝クアーズフィールド）

　ドジャース・大谷翔平投手（３０）が２７日（日本時間２８日）、敵地ロッキーズ戦に「１番・ＤＨ」でフル出場し、４試合ぶりの５４号３ランを放つなど、５打数４安打４打点、１盗塁の大暴れで打率は３割９厘にまで上昇。リーグトップのアラエス（パドレス）に５厘差と迫った。すでに５４本塁打、１３０打点の２冠は確定的。ナ・リーグでは１９３７年のＪ・メドウィック（カージナルス）以来８７年ぶりの３冠王に、残り２試合で挑む。

　誰にも大谷を止めることはできない。いとも簡単に本塁打を放ったのは４点リードの６回無死二、三塁。フルカウントから浮いたチェンジアップを見逃さなかった。バットを振りきると、打った瞬間分かる、右翼へ飛距離４３６フィート（約１３３メートル）の特大５４号３ラン。標高約１６００メートルで気圧が低く、打球が飛びやすいとされるが、右翼手はほぼ動かない圧巻の一発だった。

　２回の２打席目では、右前適時打で１０戦連続安打。すると３４連続成功で、２００１年イチロー（マリナーズ）の記録を塗り替える５７個目の盗塁をマークした。涼しい顔で二盗を決めて日本人新記録を樹立。「５５―５５」に王手をかける「５４発＆５７盗塁」とした。５打数４安打４打点の大暴れで試合前に３割５厘だった打率を３割９厘まで上昇させた。

　すでに５４本塁打、１３０打点の２冠は間違いなし。打率３割以上も確実にして、日本人初のトリプルスリーも手中に収めた。打率も２年連続首位打者のアラエス（パドレス）と５厘差。残り２試合で逆転すれば、自身初の首位打者で、１２年カブレラ（タイガース）以来１２年ぶり、リーグでは１９３７年メドウィック以来８７年ぶりの３冠王をも手に入れることになる。ロバーツ監督は残り２試合も先発させることを明言。ライバルのアラエスはこの日３安打を放ち、ロバーツ監督は「アラエスが残念ながら何本か安打を打った」と苦笑いしながら「２００安打にも近づいている。手が届きそうな記録は何でも彼のレーダーにかかっている」と残り６本に迫る日本人ではイチロー（１０度）以来２人目となる２００安打への期待を込めた。

　前日２６日（日本時間２７日）には自ら決勝打を放って地区優勝が決定。メジャー７年目で初のシャンパンファイトに参加し、美酒に酔いしれた後、本拠地からデンバーへ移動。試合終了は午後９時３９分で、シャンパンファイトなどがあり、チャーター機でデンバーに着いたのは午前５時頃だった。試合開始約２時間半前に報道陣の前に姿を見せた際には髪も乱れて少し眠そうな顔も見せていたが「ポストシーズンに向けてまだまだ頑張っていきたい」と話していた通り、気持ちを切らすことはなかった。

　直近８試合では６本塁打など３４打数２４安打で打率は７割６厘。無双状態が続き、指揮官も「この期間の長さはない。見たことがない」と驚きを隠せなかった。残り２戦。記録ずくめのシーズンで最後の偉業に挑む。（安藤　宏太）

◆トリプルスリー　日本では注目度も高い「３割、３０本、３０盗塁」の区切りはメジャーではあまりなじみがない。これまで昨季のアクーニャ（ブレーブス）ら２５人、２９度達成し、Ｂａ・ボンズの３度が最多。ＮＰＢでは、山田（ヤクルト）が３度達成するなど、１０人、１２度達成されている。

ロッキーズ・ブラック監督「投げて打つという信じられないような才能を持っている。だから、そういう才能のある選手と同じフィールドで戦うのは気分が良いものだ。彼は途方もないパワーと強さを持ち、大きな体も持っているし、彼のバットスピードは打者の中でもトップレベルだ」