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「優勝の瞬間を見て、そこに加わりたかったというのが本音」寮で見届けた胴上げ 巨人ドラ1右腕の決意

スポーツ報知 / 2024年9月30日 5時15分

6回から3番手で登板した西舘(カメラ・岡野 将大)

◆JERA セ・リーグ ヤクルト5×―4巨人(29日・神宮)

 力強い直球に打者は一歩も動けなかった。拍手と歓声を浴びながら西舘勇陽投手(22)はベンチへ駆けた。1点リードの6回、3番手で登板。オスナを151キロ直球、山田をスライダーで空振り三振。続く増田は152キロで見逃し三振に仕留めた。

 最速153キロのキレ味鋭い直球にスライダー、カットなどを交え毎回の6Kで3回48球1安打無失点。ルーキーながら今季20ホールド(H)をマークした。「コースの投げ分けや変化球でもカウントを取ることができた」と手応え。8回1死一塁の打席ではプロ初犠打も記録し、ベンチでは先輩から笑顔で頭をたたかれた。

 4年ぶりのリーグ優勝を決めた翌日に1軍合流。歓喜の瞬間は寮の食堂のテレビで見届けた。「後半戦何もできなかった。優勝の瞬間を見て、そこに加わりたかったというのが本音」。悔しい思いを力に変えた右腕に杉内投手コーチは「投げてよければ残しておきたい。CSのメンバーに入るかもしれないので。中でしょうね」。CSでの救援登板の可能性もたぐり寄せた。

 初めてのプロ生活は試行錯誤の日々だった。勝利の方程式の一角として開幕から10戦連続無失点、新人では史上初の開幕から10戦連続Hをマーク。しかし打たれても翌日には試合がある。「正直打たれたら引きずった。フォームのことも気にしてられないし、抑えるしかない。常に試合のことを考えて明るい気持ちではいられなかった」とメンタル面で苦労した。6月に登録抹消され、2軍で先発調整。8月23日の中日戦で初先発のチャンスも5回4失点で再び2軍に降格。それでも軸足に力をためたフォームに改良し、変化球の精度を見直すなど課題に真っ正面から向き合い、力に変えた。「今は投げることを楽しむことができている」と自信のある成長した姿を見せた。

 「これからどうなるか分からないですけど1軍の力になれるように頑張ります」と背番号17。次こそ歓喜の輪に加わる。(水上 智恵)

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