ウィーラー巡回打撃コーチの献身的なサポートで途中加入の助っ人コンビが巨人の救世主に
スポーツ報知 / 2024年10月5日 6時30分
シーズンには必ず岐路が存在する。そのタイミングで活躍したのが途中加入の助っ人コンビだった。
ヘルナンデスは5月10日に巨人入りが発表され、5月下旬の交流戦でデビュー。中堅のレギュラーを奪取し、得点力不足に苦しむチームの救世主となった。左手首骨折で8月に離脱したが、56試合で打率2割9分4厘、8本塁打、30打点。この男がいなければ優勝戦線に踏みとどまることすら、かなわなかっただろう。7月加入のモンテスはヘルナンデス離脱後に、外野挑戦を志願。左翼を中心に出場して8月は打率3割5分8厘、7打点とシュアな打撃と献身性で存在感を示した。
本人たちの素養や努力が結果に結びついたことは間違いないが、その裏に2人を支える存在がいた。ウィーラー巡回打撃コーチだ。20年途中に巨人に加入し、現役引退後の23年からはコーチと編成業に従事してきた。ヘルナンデスら外国人野手が来日すると、練習から付きっきりでサポート。「技術的なことはほとんど言わない。彼らが直面することの何手か先を読んで先回りしてやったり、アドバイスする」。日本の投手の特徴や、配球スタイルを伝えるだけでなく、練習の違いや食事についても助言した。
そして、異国で成功するために「聞く耳を持つこと」の重要性を説いた。教えを守った2人はオープンマインドでいることを大切に、可能な限りナインともコミュニケーションを図った。溶け込む努力を惜しまなかったからこそ、日本野球の特性を把握した上でプレーすることができた。
精神的なケアでも役割を果たした。異国での挑戦で、頼れる人が少なく適応に苦しんできた選手が過去に数え切れないほどいた。助っ人という立場で、結果をシビアに見られる重圧とも闘う。日本で8年間プレーし、その気苦労を知っているウィーラー・コーチは、調子が落ちた時やうまくいかない時に一役買った。
「彼らをいかに前向きな気持ちにさせてプレーできるようにできるか、エネルギーを出せるようにできるかが大事」。食事をともにしながら、相談に乗った。2人の様子から心身の疲労を感じた時は、コーチ陣に練習量を減らすように進言したこともあった。ヘルナンデスは「ウィーラーがいてくれるのは心強い」と頭を下げる。表舞台には立たなくとも、陰でチームを支えプロの仕事が2人を救世主にした。(宮内 孝太)
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