NHK大河「光る君へ」娘・賢子とすれ違うまひろ…道長も“父と同じ”道へ 第38回みどころ
スポーツ報知 / 2024年10月5日 13時0分
女優の吉高由里子が主演するNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜・後8時)の第38回「まぶしき闇」が6日に放送される。
大石静氏が脚本を手がけるオリジナル作品。大河ドラマではきわめて珍しい平安時代の貴族社会を舞台に、1000年の時を超えるベストセラー「源氏物語」の作者・紫式部/まひろの生涯に迫る。
先月29日に放送された第37回「波紋」では、敦成親王を出産した中宮・彰子(見上愛)は、一条天皇(塩野瑛久)への土産としてまひろ/藤式部(吉高)の書いた物語を製本し豪華な冊子を作成。まひろは里帰りを果たすが、実の娘・賢子(梨里花)と心がすれ違ったまま、内裏に舞い戻ることに。宮中には皇位継承を巡り不穏な雰囲気が漂っており、中宮の寝所が襲われる事件が起こる―という展開が描かれた。
“日本初の同人誌作り”とも呼ばれる彰子さまのエピソードは「紫式部日記」のなかでも「御冊子作り」として記されており、ウキウキと製本する彰子&女房たちの姿は実にほほえましい。装丁、紙質、フォント(筆跡)にまでこだわり抜き、中宮が手ずから綴(と)じ込みも担当した初回限定生産盤。オフ会(読み上げ会)まで開かれる次第で、ある界隈には非常に共感を呼ぶだろう。
出産を見届け、冊子作りを終えたまひろは里に下がり父・為時(岸谷五朗)や賢子と再会するが、ギクシャクした空気が漂う。「何だかこの家がみすぼらしく思えた」と心の声が漏れるまひろの脳内では、賢子の姿はかげろうのようにうすぼんやりとしている。酒に酔い、藤壺での自慢話が止まらないまひろは、「中宮様のご出産に立ち会えるなんて、これまでで一番胸が熱くなったわ」と賢子にとっては耐えがたい一言を放つ。
賢子にとっては、一番甘えたい盛りの少女時代を、父も母もいない中で書物を友達にして過ごした。きっと自分と同じように寂しいはずと思っていた母は、娘のいない人生を心からエンジョイしている。つらすぎる…。まひろはかつて、母・ちやは(国仲涼子)の死の真相を封印し、家の存続のために長いものに巻かれた父・為時を毛嫌いしていたが、時を経て同じようなことを娘にしようとしている。新たな呪いの始まりである。
まひろは、33帖まで脱稿している「源氏物語」の続きのテーマとして、「罪」と「罰」の文字を書きつけていく。第34帖「若菜」は絶頂期の光る君の転落の幕が開く、源氏物語最長のパート。紫の上に訪れる悲劇や、光る君の北の方・女三の宮の不義密通などが描かれる。まひろがかねて言う「影の部分」。家庭不和に陥りつつある自分自身、宮中でクギを刺されつつある道長(柄本佑)との関係性がどこかにリンクする。
彰子の懇願により内裏に戻ったまひろは、中宮の女房が衣服をはぎ取られる強盗事件に遭遇。これは「紫式部日記」にも大みそかの一大事件として記されている。暮れの儀式「鬼遣(や)らい」をしている双寿丸(伊藤健太郎)はなにかを目にした模様。この先、直秀(毎熊克哉)的なムーブはあるだろうか。
まひろの労をねぎらった道長は「敦成親王様は次の東宮となられるお方ゆえ」とうっかり本音を口に。父と同じことをしようとする呪いが「為時―まひろ」だけでなく「兼家―道長」にも発動されている。内裏がさまざまな思惑で揺れ動くなか、まひろのもとには清少納言/ききょう(ファーストサマーウイカ)が訪れる、という幕切れとなった。
第38回は、前回のラストカットの続きからスタート。まひろのもとを訪ねてきたききょうは、亡き皇后・定子の思い出がつづられた「枕草子」から一条天皇の関心を奪ったまひろの物語への思いを打ち明ける。まひろは物語の次の構想を練り始めるが、道長から思わぬ提案が。一方、宮中では彰子と敦成親王に対する呪詛(じゅそ)の形跡が見つかり、伊周(三浦翔平)の関与が明らかに。一条天皇は道長に相談して処分を検討するが…という展開が描かれていく。
まひろは「藤式部」を名乗ってからは初めての清少納言とのエンカウント。文学を愛する者としての目線、そして亡き皇后・定子(高畑充希)の生きた証しを守ろうとする者としての矜持(きょうじ)から放たれる言葉はずいぶんと重い。そして、皇位継承をめぐる動きもいよいよ激しくなってくる。敦康親王か、敦成親王か。伊周もだいぶ大変なことになっている。夢に出てくるランキング上位に躍り出るような怪演。「光る君へ」の裏MVPかもしれない。(NHK担当・宮路美穂)
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