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入門から15年、静岡出身の春風亭梅朝が真打ち昇進…襲名披露興行で奔走中

スポーツ報知 / 2024年10月10日 6時30分

10月5日、末広亭での真打ち昇進襲名披露興行に臨んだ春風亭梅朝(本人提供)

 静岡市出身の落語家、春風亭朝之助改め、春風亭梅朝(40)が9月に真打ち昇進を果たし、現在は東京都内で開催中の昇進ち襲名披露興行で奔走中だ。人情噺(ばなし)や怪談噺よりも、人々を明るく、陽気にさせる滑稽噺を真骨頂とする噺家は、どのようにして誕生したのか。インタビューでその歩みを聞いた。(取材・構成=甲斐 毅彦)

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 初めて落語に触れたのは、静岡学園高時代の伝統芸能鑑賞会だった。「楽しい世界だな」とは思ったものの、まさか自分がその道に進むとは思わなかったという。人生を決めたのは国学院大入学後、たまたま入った落語研究会。中学は吹奏楽部、高校では“帰宅部”だった。大学では何かをやろうとキャンパスを練り歩き、楽しそうなこのサークルの前で足が止まった。

 「すぐに先輩にごちそうされて、次の日お礼に行ったらまた食事に連れて行かれ…。まあ“餌付け”でしたね(笑い)」

 ほどなくして落語の魅力に取りつかれた。5月頃、先輩に上野の鈴本演芸場に連れて行かれ、初めて寄席を見た。笑いがあるだけでなく、出演者がつなぎ役などそれぞれの役割をこなすところにひかれた。通ってみると、日ごとにその空気も違う。新鮮だった。

 「こんな面白い空間があるんだ、と。自分が人前で初めて話したのは6月頃。不安でしたが、(皆が)自分に目を向けてくれるというのは、気持ちいい。千葉での合宿で高齢者の施設に慰問した時にお礼を言われた時は、つたない学生の噺でも役に立てるんだな、とうれしかったですね。楽しすぎて大学には1年余分にいました(笑い)」

 卒業後の進路は噺家一択だった。「何のために5年かけて卒業したのか」とあきれる父を説得し、憧れの春風亭一朝に弟子入り志願すると決めた。浅草演芸ホールで高座を見て、終わると同時に外で出待ち。浅草駅の改札まで追って「弟子にしてください」と声をかけた。翌日、上野の風月堂に呼び出されて面談。「つらいよ。苦しいよ。食べられないよ。それでもやるの?」「やりたいです」「じゃ、預かりましょう」。09年4月、入門は簡単に決まった。

 「弟子入りって掃除したり、ご飯作ったりするものと思ってました。ところが師匠は『ウチに来る暇があったら映画を観るもよし、芝居を観るもよし。用がある時は呼ぶから』と。(頼らずに)自分で何とかしなさいということでもあったのですが、ありがたかったですね」

 そして5年後に前座から二ツ目に昇進。羽織を着て、出囃子(でばやし)を持てるようになった。さらに9年後の昨年10月。めったにない師匠からの電話に「何かやらかしたかな」と思ったら、この上ない朗報だった。落語協会の理事会で真打ち昇進が承認された。師匠から授かった改名は「梅朝」。風雅な響きが気に入り、即決した。9月に襲名披露興行にこぎつけ、26日にトリ(寄席の最後の出演者)の初日を迎えた。客席には家族や中学時代の友人、静岡でお世話になった人々の姿が見えた。

 「ありがたかったですね。ガチガチに緊張したわけではないけど、次の日、起きるとあまり記憶になくて…。不思議な感覚でした」

 梅朝が所属する落語協会と落語芸術協会の2団体を合わせただけでも、現役で活躍する静岡県出身の真打ちはこれで16人となった。

 「わりと多いですよね。温暖な気候が噺家に向いているのかな(笑い)。披露目が終わったら、まずは迷惑をかけた妻と息子(小1)への家族サービス。そして地元で定期的に一人での(独演)会がやれるようになればなと思っています」

 ◆春風亭 梅朝(しゅんぷうてい・ばいちょう)本名・漆畑雄介。1984年3月11日、静岡市生まれ。40歳。静岡学園高を経て国学院大入学後、落語研究会に入る。大学卒業直後の09年4月、春風亭一朝に入門。同年11月、前座名「一力」で前座となる。14年6月、二ツ目昇進し「春風亭 朝之助」と改名。24年9月、真打ち昇進となり「梅朝」と改名。出囃子は「三社祭」。

 ◆真打ち 寄席で最後に高座に上がる資格を持つ落語家の最高位。江戸時代の寄席で、最古の演者が高座の照明具だったろうそくの芯を打って消したことから「真打ち」と呼ばれるようになったという。戦前は関西にもあったが現在は東京のみ。

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