古賀紗理那魂を継承へNEC川崎・山田二千華「限界を超えた先にある場所を目指す」…SVリーグ開幕
スポーツ報知 / 2024年10月12日 12時0分
バレーボールの新リーグ「大同生命SVリーグ」が開幕する。12日から始まる女子は前身V1リーグで昨季覇者のNEC川崎が、ホームの川崎市とどろきアリーナで埼玉上尾と対戦。男子は女子に先駆け11日に“聖地”東京体育館で、昨季決勝を争ったサントリー―大阪ブルテオン(B)のオープニングマッチで開幕する。サントリーは高橋藍(らん、23)、大阪Bは西田有志(24)ら今夏のパリ五輪で共闘した日本代表メンバーがネットを挟んで激突する。(取材・構成=宮下京香)
前身V1女子で2連覇中のNEC川崎は、12日の開幕戦で昨季3位の強敵、埼玉上尾をホームで迎え撃つ。名門の主軸を担うのは21年東京、今夏のパリ五輪でミドルブロッカーを務めた山田二千華(にちか、24)だ。「新リーグの初代女王を目指して全員で頑張っていきたい」と意気込む。
NEC川崎の今季のチームスローガンは「Our Way to Victory」だ。「宇宙一輝く星へクルーとともに挑戦し続け、限界を超えた先にある場所を目指す」と山田。ファンと共に新リーグの大海原へ“航海”に出る。
昨季リーグはレギュラーラウンド2位からプレーオフ決勝でJT(現大阪マーヴェラス)を破り、全日本選手権との2年連続2冠を達成した。今季はパリ五輪代表のアウトサイドヒッター・和田由紀子(22)がJTから移籍。夏場は課題の攻撃力を強化した。9月に参加したアジアクラブ選手権で8年ぶりの優勝を飾り、リーグ開幕へ自信を積んだ。
パリ五輪で主将を務めた古賀紗理那さん(28)からバトンを受ける。古賀さんはパリ五輪後の8月に現役を引退。代表とクラブでエースとしてけん引する姿を見てきた山田は「紗理那さんはすごい選手だった。今季は全員が自信を持って高い意識で取り組まないといけない。私も(代表で)経験してきたことを還元し、チームを引っ張っていける立場になれたら」と、後継者に名乗りを上げた。
レギュラーシーズンは計44試合を戦う。14チーム中上位8チームが初代SVリーグ女王を目指し、来年4月中旬~5月4日のチャンピオンシップに挑む。開幕戦の前には古賀さんの引退セレモニーも予定され、「スタートダッシュは大事。紗理那さんが来てくれる会場でいいスタートを切ることが、自信につながる。成長しながら戦っていきたい」と山田。開幕戦から総力を結集し、リーグ“3連覇”への道を切りひらく。
◆埼玉上尾・山岸あかねは雪辱誓う
女子で前身V1リーグ昨季3位の埼玉上尾は2連覇中のNEC川崎との開幕戦に挑む。リベロの山岸あかね(33)は「バレーボールの楽しさを見に来てくれた方に伝えられるよう精いっぱい頑張りたい」と新リーグに向け、決意を新たにした。NEC川崎とは昨季のレギュラーシーズンで2戦2敗。パリ五輪代表のセッター・岩崎こよみ(35)の巧みなトスワークを軸に強力な攻撃陣が女王をたたく。
◆日本2季目も気合バッチリ デンソーエアリービーズ・モンチベレル・ロザマリア
21年東京五輪銀、今夏のパリ五輪銅メダルのバレー大国・ブラジル代表のアウトサイドヒッターが日本で2季目を迎える。「新たなリーグが始まる。そこで戦えるのがすごく楽しみ」と声を弾ませた。昨季5位のチームを初代女王に導くために12日のA山形との初戦へ調整を重ねてきた世界的スターは「全員でまとまって負けない」と気合十分だ。
◆ダークホース「100%を心に」 ヴィクトリーナ姫路・宮部藍梨
パリ五輪代表でミドルブロッカーとアウトサイドヒッターの2つの位置をこなせる主軸は「100%(のプレー)を心に込めて、今できる一番のプレーを発揮し、全員で戦う」と表情を引き締めた。チームは昨季、2部のV2リーグを無敗で制し、上昇気流に乗る。12日にPFUとの初戦を敵地・石川で迎え、昨季覇者のNEC川崎ら強豪をたたく“ダークホース”となる。
◆地域ファンを「増やしたい」 大阪マーヴェラス・林琴奈
パリ五輪代表でチームの副主将は「初代女王を目指して頑張る」と意気込んだ。昨季はレギュラーラウンドを全勝で首位通過したが、プレーオフ決勝でNEC(現NEC川崎)に敗れ2位だった。本拠の大阪がチーム名に入った今季は、13日に昨季8位の東レ滋賀とホームで初戦。大阪・金蘭会中、同高出身の24歳は「うれしい。地域のファンを増やしたい」と意欲を燃やした。
◆九州唯一参戦1点こだわる SAGA久光スプリングス・荒木彩花
パリ五輪代表のミドルブロッカーは昨季6位に終わった悔しさを晴らす。「昨季の結果も踏まえ、SVリーグでは1点や勝ちにこだわって、初代女王を目指していきます」と高らかに掲げた。本拠は佐賀で、SVリーグ初年度に参戦する全24(男子10、女子14)チーム中、唯一の九州のチームだ。13日にホームで臨むKUROBEとの初戦へ「九州が誇れるチームになる」と見据えた。
◆大同生命SVリーグ 2027年シーズンまでに完全プロリーグ化、30年に世界最高峰リーグを目指しスタートするバレーボールの新リーグ。「S」には「Strong(強く)」「Spread(広く)」「Society(社会)」などの意味がある。前身のVリーグがSVと2部のVに分かれ、SVは5項目のSVライセンスを保有するクラブが参戦(2024―25シーズンは男子10、女子14)。11~12日の開幕から4月までのレギュラーシーズン(RS)を行い、4~5月にRS上位チーム(男子6、女子8)が進むチャンピオンシップで王者を決める。
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