大宮FW杉本健勇「生きてると感じる。30歳を越えて、サッカー選手っていいなと…」J3の1年間を語る
スポーツ報知 / 2024年10月14日 6時35分
◆明治安田J2リーグ▽第32節 大宮3―2福島(13日・NACK)
J3大宮はホームで福島に3―2で勝利し、6試合を残して1年でのJ2復帰を決めた。今季、J1磐田から期限付き移籍で加入した元日本代表FW杉本健勇(31)は、2―1の後半12分に縦パスで追加点を演出。自身初となるJ3でプレーし、チーム最多の9得点でJ2昇格に貢献したエースの思いを聞いた。(星野 浩司)
―J2昇格を決めた
「NACK(5スタジアム)で決められたので、よかったなと思う。個人的には特にない。ただの通過点なので。でも、1年で(チームをJ2に)上げる、そのミッションを達成するために必要とされて来たと思ってるので、そこは1つよかった」
―J1クラブで長年プレーした中、今季は自身初となるJ3の大宮に移籍。周囲の期待や注目度も高かった
「プレッシャーは、目に見えないところでもかなりあった。自分にしか感じない期待やプレッシャーはあったので、そこは他人には分からない部分だと思う。そこに毎週、毎週、打ち勝っていく作業を続けてきたし、残りの試合も続けていかないといけない」
―求められるものが高いからこその重圧か
「そうですね。ただ、自分が点を取るためだけの独りよがりのプレーは俺も好きじゃないし、それは求められていない。それをチームのためにやりながらも点を取る選手を評価してくれる。ただ、自分が点を取ることでチームに貢献したい思いはあるけど、リーグでは2回しか負けていないので、チームが勝っているからそこはね。チャンスは多くあるから悔しい部分はあるけど、残りの試合は固めて取れたらいいな」
―どんな1シーズンだったか
「ケガというか、プレーはしていたけど、痛みとの戦い、自分との戦いがあった。ほとんど試合は出させてもらったけど、自分が悪いなりにというか、いいプレーを見せないといけなかった。プレーしていて辛いというのはなかったけど、毎週、毎週、相手チームの映像を見て、取り組んで、試合に向かう作業を本当に繰り返した。今まで以上にそこに対して向き合わないとダメやなと思えたので、一番向き合ったかなと。自分に対しても、相手に対しても知ろうとしたというか、今まであんまり見てこなかったけど、今は相手の試合(の映像)を前日にフルで見るからね」
―加入当初は「J3はほとんど知らない」と話していた
「言い方は悪いけど、J3は全然知らない選手ばかりだった。でも、今ではほぼ知っている。正直、試合もハイライトすら見たことなかったからね。でも、そこでやると自分が決めたから」
―当初と比べてチームの変化、成長は
「最初の時より全然良いと思う。最初は厳しさだったり、互いに要求する部分だったり、まだまだだった。戦うところ、走る、技術もそう。技術の部分は、練習からみんな必死に努力してる。そこは本当に上がってると思う。今年、J3で2回しか負けてない。それは素晴らしいけど、J2、J1と上に行ったらどうなるか、まだまだ足りない部分がいっぱいある。それは俺もチームもそう。そこを見据えて日々の基準をもっと上げていくことをしていくべきだと思う」
―長沢徹監督のもと、杉本はリーグ30試合に先発。自身はチーム最多9得点のほか、アシストや得点の起点となるプレーが光った
「監督は他の人が評価しないところを評価してくれる。そこはすごい。点を決める選手、アシストする選手だけじゃなく、それ以外で選手の価値を評価する監督なので、すごく1人1人がやりがいを感じていると思う。ただ、点を取っている奴が偉いとかそうではなく、なぜ点を取れたのかをすごく見ていて、得点までの過程がすごく大事だと言っているので、これだけぶっちぎりで得点を取れているのはそういうところにも理由があると思う」
―サッカーの楽しさを、これまでと違う形で感じられたシーズンだったのでは
「いろいろな期待とかを含めて、もちろん試合に出られていることもあるし、あまり大宮のことは知らなかったし、ここに来るとも思っていなかったけど、本当に楽しくできている。ただ単に楽しいだけでなくて、厳しさやチーム内での競争、全部を含めて『生きている』と感じる。それは本当にカテゴリーは関係ない。周りは言うけど、できへん選手の方が多いと思う。ここで、真剣に。実際に挑戦しても苦しんでいる選手も多い。俺もそうやけどね」
―「生きている」という言葉が、充実した1年間を物語っている
「俺も30歳を越えて、いつまでできるか分からん中で、サッカー選手っていいなと思う。まだ引退とかはないけど、昔できていたプレーとかはちょっとずつ変わっていっている感覚はある。それは別に悪いことじゃなくて、あまりそれを考えすぎても、しがらみは抜けない。昔はこれできてたとか、けっこう俺もあったけけど、それを捨てるようにして、いま自分ができることを最大限でプレーするように心がけています」
―19日の2位・今治戦(NACK)で勝利すれば、J3優勝が決まる。
「ここに来た理由って、俺がクソほど点を取る訳でもなく、優勝してJ2に上げること。それが最大の目標だから、チームのために頑張る思いは変わらない。優勝じゃないとダメでしょ。直接対決で分かりやすいんでね。引き分けとかいらない。絶対に勝ちにいく」
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