「誰の選挙か分からなくなる」“王国”継いだ二階俊博氏三男、父の応援演説見送りへ
スポーツ報知 / 2024年10月17日 6時0分
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が争点の一つになっている衆院選で、全国から熱視線が注がれるのが和歌山2区だ。派閥の裏金問題の責任を取る形で今年3月に引退を決めた二階俊博元幹事長(85)の後継として、秘書だった三男・伸康氏(46)が出馬。一方、裏金問題を受けて離党した世耕弘成前参院幹事長(61)は鞍(くら)替えして対抗し、保守分裂の激戦区と化した。ともに「厳しい選挙」と謙遜するが、高い知名度を武器に変えて短期決戦を戦い抜く。
和歌山第2の都市・田辺市で、伸康氏が15日に上げた第一声は2つの謝罪から始まった。約600人の聴衆を前に「政治資金の問題について厳しいご意見を頂き、大きな政治不信を招きましたこと、心から深い反省の念を持って、信頼回復に努めます」。父似の顔を下に向けると、世耕氏との泥沼の対立構図に「申し訳ない。私と相手候補のポスターが同じ家の軒先に並べて貼られてある。その景色を見るたびに胸が痛くなる」。直接的な批判こそしなかったが、父が確立した「二階王国」への“横やり”に怒りをにじませた。
紀州、そして自民のドンだった俊博氏の後継候補。長男・俊樹氏が2016年、お膝元の御坊市長選で大敗し、次男・直哉氏は21年にコロナ禍のクラブ豪遊が“文春砲”の標的になった。「兄弟で一番まとも」(地元関係者)と評判で、10年間秘書を務めた伸康氏が地盤を継ぐ決意を固め、出馬表明の5月以降、各地を駆け回ってきた。選挙統括を担当するのは俊樹氏。「(父で)13回やってるんだ」と看板の強さに自信をのぞかせた。
衆院小選挙区の「10増10減」に伴う区割り変更で和歌山は選挙区が1つ減り、父が13期も制した旧3区に海南市、橋本市など5つの市・郡が加わって新2区となった。未知の地が増え、JR海南駅では伸康氏は「皆さんにはなじみが薄いですが…」と吐露。応援に駆けつけた鶴保庸介参院議員は「余計厳しい。知名度だけですから。『二階』に必ずしもいいイメージを持っている人ばかりではないし」と冷静に分析した。
新人候補だけに、約30年関わる選挙スタッフは「世耕先生に追い付け追い越せ、胸を借りる謙虚な思いで戦う」と語る。父の応援演説は現時点で予定されていない。「元気でピンピンしていますが、主役が代わってしまう。誰の選挙か分からなくなる」と見送る方向だ。世襲批判の視線とも闘いながらの選挙戦。陣営に、父・俊博氏の時のような余裕はない。(筒井 政也)
◆和歌山2区(海南市、橋本市、田辺市、白浜町ほか)
楠本 文郎 70共 新
新古 祐子 52立 新
二階 伸康 46自 新
高橋 秀彰 42諸 新
世耕 弘成 61無 新
【注】届け出順。年齢は投開票日
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