立大新監督から駒大恩師へ決戦前夜の電話「最低でも３位以内は狙っていきます」トップ通過で恩返し…本戦６３年ぶりシード狙う

予選会で１位となり、ポーズをとる立大の高林監督（前列中央）ら（カメラ・岡野　将大）

◆報知新聞社後援　第１０１回東京箱根間往復大学駅伝競走（箱根駅伝）予選会（１９日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地スタート～立川市街地～国営昭和記念公園ゴール＝２１・０９７５キロ）

　４月に就任した元駒大コーチの高林祐介監督（３７）が率いる立大は、１０時間５２分３６秒の１位で３年連続３０回目の箱根駅伝切符をつかんだ。スタート時の気温が２３・２度と例年以上に暑い過酷な条件下で、“駒大イズム”を継承した粘り強い走りを見せた新生・立大。本戦では１９６２年（６位）以来のシード権（１０位以内）獲得を狙う。

　最初に立大の名前が呼ばれると、蒸し暑さに包まれた会場が大きく沸いた。就任約半年の高林監督は「私としては初めてですし、ホッとしました。スタートラインに立てた」とほおを緩めた。５５年ぶり出場の２３年箱根駅伝は１８位、２４年は１４位と着実な成長曲線を描く立大。チームの歴史を刻み続けてきた安藤圭佑主将（４年）は「今季は箱根のシードを狙っているので、上位通過は確実にやっておかなければいけない。首位までいけたことはチームとして良かった」と喜びは一瞬、視線を本戦へ向けた。

　全員の気持ちは一致していた。高林監督は駒大の主将だった４年時、予選会で個人８位。駒大をトップ通過に導いた自身の経験から「１５キロを過ぎてからの粘りが一番重要だよ」と選手らに指示。異例の夏日の日差しの下、全員が後半勝負を想定。馬場賢人（３年）は全体１５位のチームトップ。林虎大朗（４年）、国安広人（３年）ら上級生が続き、抜てきされた５人の１、２年生も最後まで走り抜いた。

　粘り強さが光った。今夏は高林監督の指導の下、例年以上に距離を踏んだ。多くの選手が昨年よりも月間走行距離を１００キロ近く増やした。馬場は「昨年は公園（残り約５キロ）に入ってペースが落ちていましたが、今年は地力をつけるような練習を夏合宿で満足いくほど積めた。後半に生きた」と振り返った。例年以上に過酷な環境下で、立大は今季の成長ぶりを見せつけた。

　堅実に走り込み、土台をつくる。これは“駒大イズム”でもある。高林監督は前日の１８日、恩師・大八木弘明総監督（６６）に「最低でも３位以内は狙っていきます」と決意表明の電話を入れ、有言実行した。ただ、目標は出場ではない。６３年ぶりの本戦シード権奪回だ。「選手たちも当初からシードを目標に掲げています。しっかり準備していきたい」と新指揮官。トップ通過した勢いと自信を新春の箱根路でも発揮する。（手島　莉子）

　〇…駒大の大八木総監督が、教え子の高林監督率いる立大の１位を喜んだ。テレビで観戦し「息子のようだから、すごくうれしく思います。教え子たちが頑張ってくれているのは駒沢の練習方法、指導方法が間違っていなかったってうれしく思います」と話した。１４日の出雲駅伝で優勝した駒大ＯＢの前田康弘監督（４６）の国学院大とともに、立大も強力なライバルとなるが「教え子との戦いはまたうれしい部分があります」とかみしめながら戦う。

　◆高林　祐介（たかばやし・ゆうすけ）１９８７年７月１９日、三重・小俣（おばた）町（現伊勢市）生まれ。３７歳。上野工（現伊賀白鳳）３年時に全国高校総体１５００メートル優勝。２００６年に駒大入学。学生３大駅伝に１１回出走し、区間賞７回。箱根駅伝では２年時に優勝。１０年に卒業し、トヨタ自動車入社。１１年全日本実業団駅伝で３区区間賞で初Ｖに貢献。１６年、引退。２２年、駒大コーチに就任。今春、早大大学院スポーツ科学研究科を修了。２４年４月に立大監督に就任。

　◆第１０１回箱根駅伝予選会開催要項

　▽競技方法　全選手が一斉スタート。各校、１０～１４人の登録選手の中から１０～１２人が出場し、上位１０人の合計タイムで争う。外国人留学生は登録２人以内、出場１人以内。上位１０校が本戦の出場権を獲得する。

　▽出場資格　関東学生陸上競技連盟男子登録者で２３年１月１日～２４年１０月６日の有効期間内に１万メートル３４分以内の公認記録を有する。

　▽関東学生連合　予選会で敗退したチームの選手で編成し、本戦にオープン参加する。