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中田歩夢、支配下昇格も1軍昇格はなし 自主トレを共にした先輩の金言を胸に「使いたいと思われる選手」へ 

スポーツ報知 / 2024年10月20日 8時0分

15日、フェニックスリーグのくふうハヤテ戦で左越えソロを放った中田(中=カメラ・橋口 真)

 巨人の若手選手の今を伝える「From G」。第13回は2年目の中田歩夢内野手(20)。春季キャンプでアピールに成功して開幕前に支配下昇格をつかんだが、打撃フォームで悩むなど今季1軍昇格はなし。この秋は阿部監督の助言を受けて打撃改良に励んでおり、来季は「使いたいと思われる選手」となって1軍の戦力になると誓った。また、脇谷2軍内野守備兼走塁コーチが中田の長所と取り組む課題について明かした。(取材・構成=小島 和之)

 支配下選手となって迎えたシーズンは、中田にとって反省の残る1年となった。育成2年目の今季、春季キャンプの紅白戦でアグレッシブな走塁を披露して阿部監督を「最高」とうならせ、3月に支配下昇格。しかし、今季2軍戦では91試合で打率1割9分6厘、1本塁打、15打点に終わって1軍昇格はなく、8月中旬から1か月は3軍でのプレーも経験した。

 「支配下になる前は、ただがむしゃらにボールに食らいつくことを意識していたけど、支配下になったからには責任感もある。求められるものも去年とは全く違うので、気持ちの持ち方が難しく、本当に悔しい1年ではありました。考え過ぎてしまったことが一番の原因かなと思います」

 強肩と広い守備範囲を生かした守備は1軍レベル。今季は課題の打撃でフォームを模索した1年だった。昨秋キャンプでは、阿部監督からアッパー気味だったスイングの矯正を指示されて好感触をつかんでいたが、5月以降に感覚に狂いが生じた。

 「逆方向への打撃を意識する中で右肩が下がってしまい、以前のスイング軌道になって甘い球のミスショットが多かった。意識し過ぎて、考え過ぎてしまった部分もあると思いますし、ズルズルと修正できないまま今季が終わってしまった」

 幼少時から負けず嫌いな性格。2軍のメンバーはほとんどが先輩の中で、支配下選手としてチームに貢献したい―という思いが空回りの原因になったという。

 「打撃の状態が落ちてきた時期に『自分が打たなかったから負けたんだ』と結果を求めるあまり、自分を責め始めるようになって悪循環に入ってしまった。後半戦で2軍に復帰してから『守備でなんとか貢献しよう』という考えを大切にして、少しずついいプレーが増えてきた。気持ちの持ち方は、いい方向へ切り替えられたと思います」

 “師匠”の支えも大きかった。苦しんでいた夏場、オフの自主トレを共にした門脇に連絡を取って助言を求めた。苦しみながら1軍で戦う先輩の言葉はまさに金言だった。

 「門脇さんもつらい時があったことは、ずっと試合を見ているので分かっていました。『苦しい時、どうしていたんですか?』と聞いたら、門脇さんは自宅にトレーニング機器を買って、『何かつかめるものがないか、とトレーニングをしている』と教えてくれました。僕も機器を買い、寮の自室でほぼ毎日やりながら次の日の体の変化を感じる力を少しずつでも養えたら…と取り組んでいます。人一倍やらないと1軍には行けないことは分かっているので」

 今月8日には「みやざきフェニックス・リーグ」を視察した阿部監督から直接指導を受け、助言を授かった。

 「打席内容から阿部さんが感じたことを伝えてくださいました。『もっと“割れ”(打撃の時に上半身は捕手方向、下半身は投手方向に動いている状態)をつくれたら球も長く見られるし、今日の内角高めもフライになることはなかったんじゃないかな?』と。教えを踏まえ、引き出しを増やすためにやりたいことも増えました。逆方向を狙って打てたりバントを決められる、チームに貢献できる選手を目指していかなければいけないと思いました」

 悩み、苦しんだ1年だったからこそ、1軍でチャンスをつかむために必要な“能力”への理解も深まった。

 「巨人なら、複数の守備位置をこなす増田大輝さんや湯浅さんの役割を目指さなければいけない。1軍に食らいつくためには、そういうところが大事なのかなと感じています」

 来季こそ1軍の戦力になるために、鍛錬の秋を過ごしていく覚悟だ。

 「守備に関しては後半戦で良くなり、自信を持つことができました。今後の課題は打撃です。今年はテレビの前で優勝の瞬間を見て、自分もその舞台に立って歓喜の輪に加わりたいと強く思いました。来年は守備固めでも、何の役割でも1軍にフル帯同したい。まずは選手やコーチに信用され、使いたいと思われる選手になることが目標です」

 脇谷2軍内野守備兼走塁コーチ 中田の武器である守備は、1軍でも通用する高い次元にあると思います。2軍では遊撃で550イニング以上を守り、打球(に追いつく)までの速さと球際の強さ、肩の強さを生かした正確な送球は他球団に見せても恥ずかしくないレベル。今季の失策のうち、送球エラーは1つくらいで残りは捕球面でした。現状ではハンドリングや逆シングルの捕球技術の向上を課題としています。

 1軍に食い込むことを考えた時に、最初は守備固めや代走となるでしょう。首脳陣の要求を100%に近い確率で行うことが求められますから、高いパフォーマンスを発揮するための準備をする姿勢には、まだ向上の余地があります。野手であるからには打撃は重要ですが、自分のタイプを理解し、増田大や湯浅ら1軍選手の練習から守備と走塁をさらに磨く重要性にも気付いてもらいたいです。とは言え、期待値は非常に高いですし、将来的には守備でチームを引っ張れる存在になってほしいです。(2軍内野守備兼走塁コーチ)

 ◆中田 歩夢(なかた・あゆむ)2004年6月27日、青森・弘前市生まれ。20歳。小学3年から福村ガッツで野球を始め、弘前東中では軟式野球部に所属。東奥義塾では1年夏からベンチ入り。甲子園出場はなし。高校通算23本塁打。遠投120メートル。22年育成ドラフト4位で巨人に入団し、今年3月に支配下登録。172センチ、77キロ。右投右打。背番号95。

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