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宮里藍さん 父に感謝「ゴルフの調子を落としても人格を否定しなかった」 沖縄でジュニアイベント…インタビュー

スポーツ報知 / 2024年10月21日 7時0分

沖縄のコースをバックに笑顔を見せる宮里愛さん(カメラ・高木 恵)

 女子ゴルフの元世界ランキング1位で2017年に引退した宮里藍さん(39)によるジュニアのイベント「宮里藍インビテーショナル Supported by SUNTORY」は14日まで、PGMゴルフリゾート沖縄で行われた。2日間で争われた競技には全国から35人の女子中高生が参加。競技や講習会などを実施した。宮里さんがスポーツ報知のインタビューに応じ、大会への思いや育成について語った。(取材・高木 恵)

 ―5回目にして、故郷の沖縄での開催がかなった。

 「ずっと沖縄でやりたかったんです。コロナもありましたし、自分の出産のタイミングもあって。なかなかこう、ベストな状態で帰って来られなかったんですけど。満を持して、5回目というきりのいい数字で沖縄で開催ができて、もうすっごい嬉しいです」

 ―自身の現役時代を支えた、ピア・ニールソン、リン・マリオットが提唱したゴルフ哲学「ビジョン54」を基にしたメソッドを、第1回から伝授している。

 「1回目はピアとリンに来てもらって。本当は彼女たちに講師をしてもらうのがベストなんですけど、その後は私と(兄の)聖志の2人で頑張ってやっています。最初は『ビジョン54』の良さを伝えたい気持ちの方が強かったので、話が広がりすぎちゃって。選手も聞いていて大変だっただろうなとは思うんですけど、それが色々そぎ落とされてきて。伝えたいことを、短くはするけど、より深くっていう感じで話せるようになってきたかなと思います」

 ―講義ではどんなメンタル法を。一例を挙げるとすると。

 「選手の皆さんには、良かったこと、ベストショットには、必ず原因がありますという話をしています。悪かったことに対しての反省点とか、今はこうだったな、みたいなのはすぐ出てくるんですよね。それが良かったことに関しては、良かったことを当たり前として受け入れてしまう。そのために努力をしているんだから、これぐらいできるよね、そうだよねって終わらせちゃうことが多くて。でもやっぱり、成功体験の記憶を積み重ねていかないと再現性は落ちてしまう。なので、いいショットはできるだけ原因を探って、どうやって打ったんだっけな、どうだったかな、っていうことをちゃんと記憶してくださいねっていうのは選手の皆さんに言っています。せっかくの成功体験を、何もせずにそのまま放置するのはもったいないよ、って」

 ―子供たちもすぐ理解してくれるか。

 「そうですね。もう私を知らない世代がいっぱいいますから。『なんか宮里藍っていう人が急にメンタルコーチをしている』みたいな感じの子もいるとは思うんですけど。でもみんな一生懸命メモをしてくれたり、2日目が終わって緊張が解けた時に色々質問してくれる選手いっぱいいます。聞きたいことがいっぱいあって、それをぶつけてくれるというのはすごい嬉しいですね」

 ―保護者向けの講習会も行っている。子供にゴルフを教えるうえで、どんなことを大事にしてほしいと伝えているのか。

 「ピアとリンはそもそも、プレーヤー向けというよりも、アスリートペアレンツ向けの講習会が最初なんですよ。若いアスリートを支える親御さんが、どういった状態ならベストのサポートができるか、すごくいいことをたくさん言っていて。それを私たちが代弁している感じです。プラス自分の経験。自分も親に教えてもらった立場なので、『こういう時はこういうコミュニケーションを取っていました』というのを合間に入れながら、親御さんの質問も受けながら、コミュニケーションを取らせてもらう場を作っています。ゴルフをしない親御さんもいるし、おじいちゃんがきっかけで始めましたっていう選手もいるし。きょうだいだけどゴルフは片方はして片方はしないとか。いろんなパターンがあって。『こういう時どうしたらいいですか?』みたいな質問もしてくださります。『3人きょうだいでプレーしているけど、1人が優勝して1人はダメだったとか、そういう時どうしたらいいですか?』みたいなことも出てくるし。少しでも『ビジョン54』のそういう講習会がヒントになってくれればという感じです」

 ―宮里さんは父・優さんから指導を受けていた。一番助かったこと、こんなふうに接してくれたから今の私があると思えることは。

 「大変なことの方が多かったかもしれないですね、アハハハハ。やっぱりコーチとして、父も技術的には言いたいことがいっぱいある。私は選手として自分の感覚もある。『今はそれできないから』とか、ぶつかることもいっぱいありました。でもやっぱり、ゴルフの調子を落としても人格を否定しなかったところですね。私の親は、ゴルフよりも人格の方を上に考えてくれたというか。ゴルフはあくまでも人生のなかでやっていくためのスポーツで。それよりも人としての部分はめちゃくちゃ色々言われました。いいことも悪いこともですけど。だから(ドライバーの)イップスになった時も、『やめたかったらやめていいよ』ってすぐに言ってくれたし、『お前ここで頑張れよ』とかプレッシャーをかける親ではなかったので。そこはすごい助かりましたね」

 ―2021年に第1子となる女児を出産。新たな気づきや学びなど、今の日常をどう過ごしている。

 「本当に一緒に成長させてもらっているっていう感じです。ゴルフに関しては自分のことなので、いろんなことをコントロールしながら、勉強しながら、対処はできるんですけど。(子育ては)全然コントロールできないことだらけで。どう対応すればいいんだ、みたいな(笑い)。正解がないし、点数もつけられない。本当に手探りしながら、反省しながら、もうここでいいよね、って折り合いをつけながらの日々です」

 ―将来、ゴルフをやらせたいとか、ゴルフを教える予定は。

 「産む前はもう『させたくない』の一点張りだったんですけど、変わりましたね。プロとかそういうのは大変なのでやめた方がいいよって思うんですけど、私がこうして仕事をしているうえで、一緒にゴルフ場に行くし、環境としては避けられないんだなっていうのが分かって。折れました、早々に。もうこれ、避けるの無理だみたいな(笑い)。一緒にできたら楽しいだろうなとは思います。趣味で一緒にやりたいなっていうのはありますね。でも、全然強制的にというのはないです」

 ―今の日本の女子ゴルフについて。今年は米ツアーの予選会を受験する選手が多い。世界に日本選手がどんどん出ていこうとしている。

 「私は自分が行きたくてアメリカに挑戦しました。それを周りに押し付けるとか、そういうのは全然ないんです。でも、やっぱり、私たちが行っていた時よりもはるかに今、世界が近くて。オリンピック競技にもなって、必然的に、自然に、外を見る時代になっていると思うので、全然不思議に思わないです。機会があるから行ってみようと思う魅力は、海外にはあると思います。いろんな選手がメジャーに出て、オリンピックにも出て。山下美夢有ちゃんもきっと、今年オリンピックに出ていろんな概念が変わったと思うんです。そこで得られる刺激っていうのは、その選手にしか分からないですし。そのタイミングで行きたいと思うんだったら、行った方がいいっていうふうには思います」

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