トランプ前大統領 有罪評決、暗殺未遂乗り越え4年ぶり返り咲き 恐怖と不安あおり劣勢巻き返す
スポーツ報知 / 2024年11月7日 6時0分
米大統領選で6日、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が勝利したと米主要メディアが報じた。同氏は南部フロリダ州の集会で演説し「47代大統領に選ばれたことを誇りに思う」と勝利宣言。民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)との激闘を制した。勝敗のカギを握るとされた激戦州のノースカロライナ、ペンシルベニアなどで勝利し流れをつかんだ。2025年1月に就任する。
おなじみ「USA」コールに乗せられ現地時間午前2時半に演台に立ったトランプ氏は、疲れも見せずに聴衆に大満足の笑顔を振りまいた。「第45代大統領が、47代目大統領に選ばれた。誇りに思う」。この時点でFOXニュース以外の各メディアで当確は出ていなかったが、フライング気味に勝利を宣言した。4年前の大統領選落選時は「不正選挙だ」と陰謀論を持ち出し、法廷闘争まで行った。幾多の有罪評決、選挙中の暗殺未遂などの波乱万丈を乗り越え、へこたれ知らずの心で復権をアピールした。
バイデン大統領の出馬断念でハリス氏が登場した7月には、劣勢が伝えられていた。だが「トランプ劇場」と称される予測不能な弁舌を駆使し、4か月で見事な盛り返しを見せた。「不法移民が米国を侵略し、殺人を犯している」―。虚実ない交ぜのトランプ氏の発言は被害者意識を駆り立て、不満をため込んだ有権者の心をつかんだ。
恐怖や不安をあおるスタイルとは対照的に、ハリス氏は「未来志向」を掲げた。だが、悪態上等のトランプ氏のペースにのまれ、次第にハリス氏の演説にもひぼう中傷が増した。結局、自身の実績の薄さやバイデン氏との違いは示せず。終盤はビヨンセら女性歌手やハリウッドセレブを集会に大量投入するも、挽回に至らなかった。
国際社会が注目するのが、トランプ氏が「終わらせる」と豪語するロシアのウクライナ侵攻の行方。「ウクライナの負け戦だ」と断じており、強い指導者とたたえるロシアのプーチン大統領寄りの終戦案を進めかねない。ウクライナ支援にも消極的だとされ、戦況への影響は避けられない。
国務長官、大統領補佐官、広報部長、首席戦略官…。1期目政権でトランプ氏と折り合わず解任されたり、辞職したりした幹部は多い。共和党はホワイトハウスだけでなく上院も奪還。次期政権は「忠臣」を集める見通しだ。
超大国の指導者として再び国内、そして世界での分断を広げるのか。「米国の政治的な勝利。これからが黄金時代だ」。トランプ氏はヴィレッジ・ピープルの名曲「Y.M.C.A.」が流れるなか、自信満々に演説会場を後にした。
◆返り咲き 1789年4月に就任したジョージ・ワシントンから始まる米大統領の歴史で、返り咲きを果たしたのは2人目。前回は第22代大統領のグロバー・クリーブランド(任期1885年3月~89年3月)が一度落選し、93年3月から24代として就任した。
◆米大統領選 米国の正副大統領を決める4年ごとの選挙。形式上は間接選挙で、全50州と首都ワシントンに割り当てられた大統領選挙人計538人の過半数270人の獲得を競う。選挙人はどの大統領候補を支持するかを事前に表明しており、有権者は大統領を直接選ぶ感覚で投票する。各州で勝利した候補がその州の選挙人を独占する「勝者総取り」が原則で、全米の総得票数で勝っても落選する場合がある。投票日は「11月第1月曜日の翌日の火曜日」と定められている。
◆ドナルド・トランプ 1946年6月、米ニューヨーク生まれ。父の事業を継いでホテルやカジノを展開し「不動産王」と呼ばれた。テレビタレントとしても活動し「おまえはクビだ」の流行語を生んだ。2016年大統領選で共和党候補として民主党のクリントン候補に勝利。17年1月~21年1月、第45代大統領。在任中に議会襲撃などを巡って2回弾劾訴追されたが、無罪評決に。退任後に4度起訴され、不倫口止めに絡む事件で、大統領経験者として初めて有罪評決を受けた。
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