巨人・小林誠司、「ズッ友」菅野智之への感謝とCS“小林の1ミリ”逃した悔しさ 来季「ガムシャラに」日本で勝負
スポーツ報知 / 2024年11月12日 5時0分
巨人の小林誠司捕手(35)が11日、海外FA権を行使してメジャーに挑戦する菅野智之投手(35)への感謝の思いをスポーツ報知に激白した。最後にバッテリーを組んだ10月21日のCS最終ステージ(S)第6戦(東京D)でDeNAに敗れた悔しさも吐露。同学年で“スガコバ”として、バッテリーを組んできた盟友のメジャー挑戦にエールを送りながら、自身もガムシャラに日本で勝負することを誓った。(取材・構成=水上 智恵)
ともに過ごした11年の月日を思い返しながら小林が菅野への熱い思いを口にした。盟友が海外FA権を行使してメジャーに挑戦することを表明。親友として素直にうれしかった。
「本人の夢っていうか、目標にしていた場所だと思いますし、前回行けなかった時の悔しい思いや向こうで活躍している他の日本人選手の姿を見ていたと思う。今年状態が上がってまた自信をつけて、より勝負したい気持ちが強く芽生えたと思う。言葉に出すことはなかったけど、『あの時行っていればどうやったかな』っていうのはイメージしながら日本で頑張ってやってきたんじゃないかなと思う。僕は全力でサポートしたいと思いますし、菅野智之っていうピッチャーがあの舞台でどれだけ通用するのか楽しみです。まだまだこれからが全盛期だと思うので、頑張ってもらいたい」
小林は13年ドラフト1位で巨人に入団。1年先に入団していた菅野とはプロ11年間で144試合で先発バッテリーを組み76勝。勝率は・679にのぼる。一戦一戦が、大切な思い出だ。
「僕は東京Dの広島戦(14年4月10日)で智之と(公式戦で)初めてバッテリーを組んで、(一緒に)初めてお立ち台に立ったんですよ。『お立ち台に一緒に立てたらいいな~』って言ってたらすぐ立てたし。思い出は多い。ノーヒットノーランも2年連続(17、18年)の沢村賞も、バッテリー賞もあるし…。僕には縁がないタイトルですけど、智之が取ったタイトルは結構僕も携わらせてもらっていて、自分のことのようにうれしかった。感謝しかないです。同級生ですけどすごい面倒を見てもらって、大事な存在ですし、僕がこの世界で戦うのにいないといけない存在」
エースとして輝かしい成績を残してきた姿も、その裏で重圧と闘い苦しむ姿も一番近くで見てきた。そんな信頼関係抜群の同学年バッテリーはファンからは“スガコバ”の愛称で親しまれた。その愛称にも熱い思いがある。
「ありがたかったですね。智之と一つにしてくれて。智之にはいつも『ありがとう。おかげさまで』って言っていますけどね(笑い)。もう智之が何が言いたいかとか分かりますよね。マウンドだけじゃなくて『あ、これ嫌なんやろな』『合わせてるだけやん!』とか(笑い)。若い時から2人でご飯に行ったりいろんなことしましたし、ズッ友(ずっと友達)みたいな存在です!」
今季は2年ぶりに“スガコバ”が復活。24試合でバッテリーを組んで菅野は15勝を挙げ、リーグ優勝をつかんだ。3勝3敗で迎えたDeNAとのCS最終S第6戦では同点の8回からバッテリーを組んで途中出場。しかし、9回に牧に勝ち越し適時打を浴びて、日本シリーズ進出を逃した。
「最後に智之と組めたことは監督や周りに感謝です。ただ本当に悔しかった。ロッカーでの智之の姿は忘れられない。けど、投げた球は悔いはないと話していたし、僕もそれに関しては悔いはない。ただ負けたって事実はやっぱり悔しい。最終打席で打てなかったのは練習不足【注】。日頃の一日の1スイングが足りんかった。日頃積み重ねてたら、365スイング。いけてたかも…。『小林の1ミリ』やったかもしれん」
日々の小さな積み重ねが大きな結果になる。その悔しさからしばらく立ち直ることはできなかった。
「終わった後はしばらく死んでました。何しよう…って。とりあえず日本シリーズ見るか!って。でも、やっぱりまだまだやれるなっていう気持ちですよ。それが野球ですよね。何があるか分からないので一日一日、一生懸命頑張ってやろうって改めて思いました」
来季は二人三脚で歩んできた菅野はいない。海を渡り、一人で腕を振る姿に刺激を受けながら、強い覚悟で来季に臨む。
「だいぶ寂しいです。でも、同級生の丸と一緒に応援したいなと思います。寂しいですけど、かけがえない存在。それはアメリカに行っても変わらない。ずっと見てるし、応援してる。みんなも応援してくれてると思うんですよ。これだけ頑張ってくれましたし、残してくれたものってたくさんあるので。僕も頑張ります」
今季は42試合、123打席で打率1割5分2厘に終わった。スタメン出場の機会も減り、自身も危機感をにじませて勝負の1年を迎える。
「僕も智之から教えてもらったこと、感じた部分は後輩たちに教えていきたい。僕自身ももがいて頑張るしかない。もがいて、ガムシャラに自分らしくやっていきます」
夢を追いかけて羽ばたく親友の活躍を願いながら、小林もまたバットを振り続ける。
【注】同点の8回に1死一、二塁で打席に立ち、伊勢の初球、130キロフォークを振り抜くと、打球は左翼線ギリギリに飛んだが惜しくもファウルに。菅野らチームメートもベンチから飛び出し打球の行方を見守ったが、勝ち越しとはならなかった。残念ながらその後、見逃し三振に倒れた。
◆スガコバのベストゲーム
▽14年4月10日・広島戦(東京D) 阿部が左ふくらはぎ死球の影響で先発を外れ、ルーキーだった小林が初めて同学年の菅野と先発バッテリー。8回途中2失点に導き、打撃でも猛打賞を記録。開幕3連勝を飾った菅野とともにお立ち台に上がった。
▽17年3月21日・WBC準決勝 米国戦(ドジャースタジアム) 侍ジャパンで先発バッテリーを組み、菅野は「誠司が引き出してくれた」とメジャーのスターが並ぶ強力打線相手に6回3安打1失点(自責0)の快投。チームは敗れたが、敵将のリーランド監督が「素晴らしい。彼はメジャーの投手だ」と大絶賛。
▽18年10月14日・CS第1S第2戦 ヤクルト戦(神宮) ポストシーズン史上初のノーヒットノーラン達成。菅野は「強気に誠司が引っ張ってくれた。あうんの呼吸というか、いつも引っ張ってくれています」と抱き合った。
▽24年7月28日・DeNA戦(横浜) 9回に最速タイ150キロをたたき出し、7安打無四球でシャットアウト。21年4月16日の同カード以来、1199日ぶりの完封勝利を達成し、2人で熱い抱擁を交わした。
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